【日経平均】TOPIXとねじれながら121円高

2013年08月29日 20:11

 NYダウは48ドル高。シリア攻撃はまだ始まらないが、下げるだけ下げると押し目買いが入って自律反発する。中古住宅販売仮契約指数が市場予測を下回って住宅関連セクターは軟調だったが、NYMEXでWTI原油先物価格が1バレル110ドルを突破し2年4ヵ月ぶりの高値をつけてエネルギー関連銘柄が買われ、石油大手のシェブロンとエクソンモービルのNYダウ・プラス寄与度は合わせて38ドル。29日朝方の為替レートはドル円は97円台後半、ユーロ円は130円台前半で前日とあまり変わらない水準だった。

 日経平均も自律反発気味に44.49円高の13382.95円で始まる。取引時間前の外資系証券の売買注文動向が売り越し、7月の商業販売統計の小売販売額が0.3%のマイナスでも、25日騰落レシオは前々日、前日は80%を割り「売られすぎ」シグナルが出ていた。しかし25日移動平均乖離率やRSIはそこまで低くなく微妙なところ。前場の日経平均はプラスが続いて13400円台にたびたび乗せても、TOPIXはなかなか伸びずにマイナスの時間帯も多く、値下がり銘柄のほうが数で優勢な局面もたびたび現れた。

 先物・値がさ株主導で後場も「NTねじれ現象」が断続的に出現したが、午後2時台に日経平均が13400円台後半の水準に上がりTOPIXもマイナスにならなくなった。大引け9分前に最高値13463円をつけて終値は121.25円高の13459.71円。日中値幅は99円で8月初めて100円を割り込んだ。TOPIXは+2.48の1116.51で日経平均ともども4日ぶりに反発している。日経平均は月末恒例のドレッシング買いが1日早く始まった感もあり、TOPIXは時価総額が大きい電力株が全て下げたのが響いた。売買高は18億株、売買代金は1兆4763億円で、2兆円割れは12日以来14日間継続中だ。

 値上がり銘柄769は値下がり銘柄818より少ない。それでも業種別騰落率は21対12で値上がりセクターが優勢。その上位は鉱業、ガラス・土石、石油・石炭、海運、水産・農林、パルプ・紙など。値下がりセクター下位は電力・ガス、ゴム、空運、その他製品、医薬品、陸運などだった。

 日経平均寄与度は146対61でプラスが大きくリード。プラス1位のファーストリテイリング<9983>、2位の京セラ<6971>、3位のソフトバンク<9984>の合計寄与度は+54円で上昇幅の約45%を占めた。

 トヨタ<7203>は4日ぶりに小幅反発して40円高だったが、7月の国内生産が24.9%減だったホンダ<7267>は30円安で日経平均マイナス寄与度1位に。スズキ<7269>は日産<7201>、三菱自動車<7211>への軽のOEM供給に基本合意というニュースが伝わって45円高だった。GSユアサ<6674>は続伸して17円高で売買高7位、売買代金11位と買いを集めた。一方、キヤノン<7751>は8円安、ニコン<7731>は21円安と続落して年初来安値を連日更新。太平洋セメント<5233>は売買高12位で16円高になり、同業の住友大阪セメント<5232>も12円高で年初来高値を更新していた。

 サントリー食品<2587>は後場マイナスになり、大引け前の乱高下の末に15円安で売買代金4位。波乱の原因は8月末のTOPIX採用をめぐるリバランス売りで、同じように値下がり率ランキングのワースト10のうち9銘柄を7月16日に東証に加わった「旧大証単独銘柄」が占めた。サントリー食品や64円安で値下がり率11位の関西電力<9503>ともども「関西の厄日」になった。

 原油の高騰を受け国際石油開発帝石<1605>は5.21%の急騰で値上がり率14位、石油資源開発<1662>も200円高で同18位だった。石炭は高騰していないが住石HD<1514>は16円高で値上がり率6位、三井松島産業<1518>は12円高で同8位になり、この4銘柄が鉱業を業種別騰落率トップに押し上げた。石炭2銘柄も株価100円台だが、売買高ランキングはCVSベイエリア<2687>5位、住石HD6位、Sサイエンス<5721>9位、キムラタン<8107>11位と株価200円以下の低位株、超低位株でにぎわった。

 しかし火力発電の燃料費高騰が懸念されて東京電力<9501>は13円安、中部電力<9502>は46円安で、10電力は卸電力のJ-POWER<9513>も含めて全滅した。任天堂<7974>は欧米で10月に「3DS」の廉価版「2DS」を発売し「Wii U」も値下げすると発表したが150円安。KADOKAWA<9477>は約309万株の売出しを発表し需給悪化懸念で205円安で値下がり率9位。良品計画<7453>は日経新聞で8月中間期の経常利益が1割増の110億円程度に拡大し過去最高の見通しと報じられ230円高の大幅高だった。前日派手に動いた防衛関連銘柄はこの日はランキング上位には見かけず、特殊部隊のように散開して潜伏中。シリアでドンパチが始まれば再びその姿を現すことだろう。

 この日の主役は「株式分割」。前日、京セラは9月30日を基準日に1株を2株に分割すると発表し、日清製粉G<2002>は同じ日を基準日に1株を1.1株に分割すると発表した。日清製粉は年間配当を据え置いたので実質的に増配になる。株式分割は29年ぶりになる京セラは250円高、8年ぶりになる日清製粉Gは16円高と好感された。

 かつて堀江貴文氏が「小学生のお小遣いで買えるように」と言ってライブドア株の大型株式分割を繰り返し、「インチキ錬金術」などと猛烈な批判を浴びて株式分割のイメージが悪化してしまったが、今は基準日翌日に新株の流通が始まるので需給バランスを崩すタイムラグもなくなり、株価への影響は教科書通りニュートラルになっている。

 最低購入金額が、来年1月開始のNISA(少額投資非課税制度)上限の100万円を超える銘柄は全市場で98もある。個人投資家を呼び込みたい東証は株式分割と売買単元の引き下げで最低購入金額を50万円未満にするように要請している。それに応えて日清製粉Gは今回、株式分割と同時に売買単元を500株から100株に引き下げるが、皮肉なことに京セラはこの日の株価上昇で、分割後の最低購入金額が50万円をオーバーしてしまった。(編集担当:寺尾淳)