東電汚染水問題 凍土遮水壁など全額国費

2013年09月03日 18:52

 政府は3日、原子力災害対策本部を開き、東京電力福島第一原発の放射性物質による汚染水問題の根本解決に向け、政府の基本方針を取りまとめた。地下水が原子炉建屋に流れ込むのを防ぐ原子炉建屋周りの凍土方式による陸側遮水壁の設置費用などは全額、国費を投じて実施する。遮水壁は26年度中の運用開始を目指す。

 また、建屋海側の汚染エリアに雨水が浸み込み新たな汚染水が発生しないよう汚染エリアの地表をアスファルトなどで舗装する作業に10月から入る。増加汚染水を確実に貯留するため必要なタンクを確実に増設する。建屋近くの井戸からの地下水汲み上げを図る。また高濃度汚染水の浄化処理設備を整備する。

 政府は継ぎ接(は)ぎ対応の東電に汚染水問題は任せておけないとして、菅義偉官房長官を議長に、関係閣僚らからなる「廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議」を設置するとともに、現地事務所を設け、現場に常駐する職員を含めて体制強化を図り、実効を目指すことになった。また、汚染水対策現地調整会議を設け、東電との連携・調整を図る。

 政府によると、福島第一原発1号機から4号機には日量1000トン近くの地下水流入があり、このうち400トンが建屋に流入しているという。残りの600トンの一部はトレンチ内の汚染源に触れ、放射性物質による汚染水として海に放出されている状況という。このため海洋の生態系への影響が懸念されるほか、国際問題に発展しかねない深刻な問題になっていることから政府が前面に出て対応することになった。

 遮水壁工事の全額、国費負担には役員報酬や社員給与も含め一層の経費削減、資産売却など「国費での全額負担の前に東電がすべきことがある」との批判の声もあがっており、東電の対応が注目されている。(編集担当:森高龍二)