あらゆる資源使い早期収束を 汚染水で山岸会長

2013年09月07日 22:12

 日本弁護士連合会の山岸憲司会長は東京電力福島第一原発事故による汚染水問題の速やかな収束を図るため「政府は組織、人材、予算などあらゆる資源を投入し、抜本的な対策を講じ、国際社会と国民の不安を一刻も早く取り除くように」との声明を発表した。

 山岸会長は「汚染水保管タンクや配管から高濃度汚染水が漏えいする新たな地下水汚染が発生している」ことを国際的な信用のうえにおいても深刻に受け止め「タンクや配管そのものを堅牢なものに更新しなければ汚染水の海洋流出を完全に止められない状況になっているが、タンクや配管の更新予算は政府の対策に含まれていない」と「新たな汚染拡大危惧はぬぐえない」と政府の迅速な取り組みを要請した。

 山岸会長は「汚染水発生の主な原因の一つは地下水が建屋内に流れ込み、放射性物質と接触し、日々、約300から400トンの新たな汚染水が発生し続けているためであり、この事態を招いた主要な要因は地下遮水壁の構築がなされず、地下水が施設内に流入しているところにある。地下水の流れは事故以前から判明しており、福島第一原発事故後に、政府は、一度は地下遮蔽壁の構築を検討することを東京電力に指示し検討させ、東京電力は2011年6月13日付けで計画案を政府に提出。地下水の遮水について万全の対策を講じることや原子炉建屋等の周りに遮水壁を構築するなどとする具体的な図面や計画案まで示していたのに、東京電力は対策費用が1000億円レベルとなる可能性もあり、その場合、市場から債務超過に一歩近付いたとの厳しい評価を受ける可能性が大きいなどとして、2011年6月17日に中長期的対策として検討する方針を発表して、対策を先送り。今日まで必要な対策を怠った」と批判し、政府も抜本的な措置を講じなかったとして、東電や政府の対応を『誠に遺憾』とした。

 山岸会長はこうした経緯やさきに政府が「汚染水問題は東電に任せておれない喫緊の問題。政府が前面に出てあたる」と表明したことも踏まえ、あらゆる資源投入し抜本的対策をと求めた。(編集担当:森高龍二)