生き残りを賭けたTBSの取り組みはどんな成果を生むか?

2013年09月08日 19:06

 エヌ・ティ・ティ・ドコモは、TBSホールディングスと、スマートフォン向けの新たなコンテンツと関連するサービスの共同提供に向けた業務提携に合意した。また同時にドコモは、TBSホールディングスが保有する自己株式の内、発行済株式総数の約3%を約70億円で取得することをTBSホールディングスと合意した。

 TBSホールディングス自己保有株の第三者割当先はドコモのほか、三井物産<8031>が4.03%、毎日放送<9407>が3.45%、そしてWOWOW<4839>が0.12%。総額は約119億円となる。

 TBSホールディングスは、同社と子会社53社及び関連会社38社により構成されており、創業から60余年にわたり、放送、番組制作、映像技術、美術制作等の放送事業、音楽、美術、スポーツ等の各種催物の企画・制作事業、映像・音楽ソフト制作・販売事業、通信販売、雑貨小売等、事業の多角化を図ってきた。

 しかし、同社グループを取り巻く環境は、企業の海外転出、急速に進む少子高齢化、人口減少に加え、デジタル化によるデバイスの多様化、放送と通信の連携、ソフトウエアの高度化等により、従来以上に急速に変化している。

 このような経営環境の変化の中、創業65周年目を迎える2015年度にTBSグループが総合メディア・コンテンツ企業としてトップグループになることを目指し、「放送事業の強化」、「総合メディア戦略の充実」、「グループ全体の収益力向上」及び「新規事業開発による多角的な収益力の向上」の4つを中期経営目標に掲げている。

 そこで、以前より協業関係にあるパートナー企業との関係をより深化させ、パートナー企業及び同社のそれぞれの強みを効果的に融合させることで、同社の企業価値の向上を実現するべきであるとの結論に達したとしている。以上の観点から、同社は、ドコモ、三井物産、毎日放送、WOWWOWの各社を、中期経営目標の実現に向けたパートナー企業と位置づけて、業務提携の推進を行っていくとしている。

 ドコモとの業務提携は、TBSホールディングスが保有する「赤坂ACTシアター」、「赤坂BLITZ」などで開催される興行イベントへのドコモの参画とチケット販売拡大に向けた協業や「dビデオ」、「dアニメストア」、「NOTTV」等のスマートフォン向け映像コンテンツの充実に向けた、番組やコンテンツの共同企画及び制作としている。

 既存のテレビ局を取り巻く環境は厳しさを増しているが、その生き残りをかけたこのTBSホールディングスの取り組みがどんな成果を生むかを注視していきたい。(編集担当:久保田雄城)