コンサバティブからアグレッシブに変容 「SAI」はトヨタのセダンを救うか?

2013年09月10日 18:25

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マイナーチェンジで生まれ変わった「SAI」、果たして低迷する国産セダン需要を喚起するか?

 SAIは、2009年にハイブリッド専用車種として発売されたトヨタの中核セダン。2013年8月、モデルチェンジとも言えそうな大規模なマイナーチェンジを受けて新型SAIが登場した。テレビCMには美人女優・真木よう子を起用した。

 マイナーチェンジ以前のSAIはプリウスの上級車種としてフォーマルな4ドアサルーンを求めるユーザーを狙うモデルとなるはずだった。が、結論から言うと「さっぱりな」売れゆき。国産2リッターオーバーのセダンは法人公用車需要を除くとほぼ壊滅状態。個人ユーザーに人気のあるセダンは、ほぼドイツ車で、SAIの販売台数は2013年前半、月間販売台数は300〜500台程度という危機的状況にあった。毎月2万台ほど売れている、同社のハイブリッド・ベストセラーのプリウスやアクアとは比較にならない低迷ぶり。これを打開、テコ入れするため今回、マイナーチェンジが実施された。

 新型のボディサイズは4695×1770×1485mm。エクステリアで大きな変更点は前後のデザイン。なかでもフロントデザインは、フォーマルだがコンサバティブで地味すぎた旧型を一蹴する大胆な変更。横に長い大胆なデザインの大型ヘッドランプは、フォーマルさを訴求するモデルには派手すぎるとも思えるほど。ボディ形状に変更はなく、フロントデザインだけが突出してアグレッシブになった印象だ。

 室内を覗くとインパネデザインが一新され、ナビゲーション用のモニターから繋がる一体感のあるセンターコンソールで構成、プリウスよりも2ランクほど高い質感だ。

 今回のマイナーチェンジではボディ剛性の向上を図った。従来のSAIは快適な乗り心地だった反面、素早いステアリング操作に対する反応が鈍かった。これを改善するための剛性強化策である。

 また、レクサスCT200h 、HS250hに装備して評価が高い「パフォーマンスダンパー」をオプション設定。高い剛性のボディを与えると走行安定性は上がるが、それとトレードオフで乗り心地が悪化する。その走安性と快適性を両立させるのがパフォーマンスダンパー。ボディに装着するショックアブソーバの一種で、高剛性ボディに適度な捻れを許す装置だ。

 搭載するハイブリッドシステムは従来型からキャリーオーバーした「リダクション型THSⅡ」。プリウスよりも500cc大きな2.4リッター4気筒エンジンをモーターがアシスト。システム全体の総合出力は190ps。ただし、パワーコントロールユニットの制御を見直し、JC08モード燃費は従来の21.0km/リッターから22.4km/リッターに向上。走行モードは「スポーツ」「エコ」「EV」の3モードから選択可能だ。

 グレード構成はベーシックな「S」(321.0万円)、それにLEDフォグやクルーズコントロールを追加装備した「S・Cパッケージ」(331.0万円)。SDナビ、電動チルト&テレスコ付きステアリングを加えた「G」(382.0万円)。これにプリクラッシュブレーキ、車間制御機構付きクルーズコントロール、リアサイドエアバッグなどが標準装備となる最上級の「G・Aパッケージ」(421.0万円)。

 CMには美人女優を起用、コンサバからアグレッシブに大胆に転換した今回のリニューアル。果たして、「吉」とでるか「凶」とでるか楽しみである。(編集担当:吉田恒)