環太平洋経済連携協定(TPP)交渉は、9月18日~21日まで、米ワシントンで、首席交渉官による会議に入った。その中で、交渉が難航するとみられているのが「知的財産」「競争政策」「環境」の3分野であろう。
現在TPP交渉の主な分野の進展状況を見ると、関税、原産地規則、知的財産、競争政策、環境、投資などの分野は、交渉が最も難航しておりかなり遅れそう。政府調達、越境サービス、金融サービスは、やや進展している状況だ。一方ほぼ交渉が成立しているとみられる分野は、労働、TBT、一時的入国、貿易円滑化、衛生植物検疫などはTPP参加国間で、交渉は成立している.
特にこの内、労働を巡る交渉では、雇用や、賃金制度を人権的に問題が生じるほど、ゆるめた労働コストを低減し、不当な安い製品を輸出する労働ダンピングを容認しないことで一致している。
最も難航が予想される知的財産、競争政策、環境の3分野は、その対立点や合意の見通しがついた部分を調整し・整理し10月8日のTPP首脳会議で、大筋合意を目指す。知的財産分野においては、著作権保護、特許などの国有・民間企業間の公平な競争条件確認を目指す。競争の2分野では、米国とマレーシア、ベトナムなど新興国の間で、対立が続いている。
また環境を巡る議論もいまだに難航している。関税自由化を巡る分野別協議も、20日からワシントンで開かれる日本と米国の交渉は、関税を撤廃する品目のリストを始めて交換し、関税自由化について、本格的な協議に入る。日本は、関税を撤廃する貿易品目の割合である「自由化率」を80%台にとどめ、コメなど農産品の重要5項目の取り扱いを「未定」として示す。
日本では特に農業関係者が、このTPP交渉の成り行きを注目しており、交渉いかんでは、今後の農業政策に大きな影響を与えることは必至であり、政府の強気な交渉を期待している。(編集担当:犬藤直也)