経営再建中のシャープ、公募増資で1664億円を調達

2013年09月22日 11:14

 18日、2期連続で大きな赤字を計上し自己資本比率が6%まで下がっていた、経営再建中のシャープ<6753>は、「公募増資」と「第三者割当増資」により、最大で1664億円を調達すると発表した。そうして増資に踏み切り、財務基盤の強化を図る模様。

 合計で5億株以上が新規に発行され、これにより発行済み株式数は42%増加。内訳としては、「公募増資(証券会社への追加売り出しを含む)」で4億5000万株を新規発行し、最大で1489億円を調達する。

 「第三者割当増資」では、提携関係にある3つの会社に5021万株を新規発行し、175億円を調達する。マキタ<6586>に100億円、LIXILグループ<5938>に50億円、デンソー<6902>に25億円を割り当てる。

 今回のこの調達金額は、シャープが増資を決めた9月12日の終値363円をベースに発行金額をかけて算出されたものだが、実際の発行価格は需要動向を鑑みつつ、10月7日から9日の間に決定される予定だ。

 今年6月末で自己資本比率が6%(自己資本は1224億円)まで下がったうえに、2014年3月末には年金積立不足の1200億円を自己資本から引かなければならないことから、シャープとしては思い切った資本増加が必要な状態だった。

 シャープの高橋興三社長によれば、8月公表の4-6月決算で30億円の黒字を計上し、期初に予想していた100億円程度の赤字から上振れを確保したことから、「回復基調に入った」との判断を下し、今回の公募増資の本格化に踏み切ったとのこと。

 この増資が決定したことにより、とりあえずの財務の危機は免れたかに思われるものの、外資系証券のアナリストの中には、「予定通り1664億円もの金額が調達できるかが問題」と指摘する声もある。

 また、そうして株数を増加させることにより、株価が下落することも予想されるため、発行価格を363円に設定できるかどうかが問題であり、「少なくとも年金積立不足分の1200億円を越えることが出来なければ、危機が回避出来たとは言えない」との見方も示している。(編集担当:滝川幸平)