ローム スマートフォン関連製品で世界最小を実現

2013年09月28日 20:06

ローム0927

世界最小を実現したロームのRASMIDシリーズ(左端は0.5mmのシャーペンの芯)

 米アップルの新型iPhone 5S・5Cが9月20日に発売されたが、今回はそれに合わせたタイミングで、NTTドコモ<9437>がiPhoneの取り扱いを開始する事が発表され、大きな話題を呼んだ。先行しているソフトバンク<9984>とau<9433>に続いてNTTドコモがiPhone市場に参入したことにより、競争は三つ巴の様相を呈している。

 折しも、その新型iPhoneの発売前日にローム株式会社が、同社の展開する新工法を用いた超小型のディスクリート製品群「RASMID(ラスミッド)シリーズ」より、スマートフォンに組み込む世界最小のチップ抵抗器03015(0.3×0.15mm)サイズの量産化を発表し、こちらも業界関係者を中心に大きな話題を呼んでいる。

 チップ抵抗器とは、電流の流れを制限することで電気回路をスムーズに動作させるはたらきをもっている電子部品であり、IT機器に欠かせない部品のひとつだ。スマートフォンにも随所に使われ、1つのスマートフォンの中には約200個もの抵抗器が使用されると言われており、常に小型化が求められてきた。

 そもそも角形チップ抵抗器やチップネットワーク抵抗器は、ロームが世界で初めて開発した製品だ。同社では早くから独自の微細化技術を駆使して、小型化・高性能化・高信頼性に対応した製品の開発を進めてきた。

 今回量産化が発表された03015サイズは、微細化の限界といわれる0402(0.4×0.2mm)サイズを大幅に下回る世界最小のチップ抵抗器として開発に成功したものである。面積で計算すると約40%もの削減をすることが可能であり、その空きスペースを新機能の実装やバッテリー拡張などに回すことで端末の高機能化につなげることができる。

 微細化の限界を超えた世界最小部品であることはさることながら、驚くべきは、その寸法精度だ。寸法精度プラスマイナス10マイクロメートル以下を誇り、新サイズとなる03015においては、実装機メーカとの協議を重ねた結果、大量のサンプル提供による実装評価においても不良率ゼロを達成している。

 スマートフォン市場はもとより、スマートフォン市場が飽和状態になりつつある今、成長市場として話題に上がることの多い、グーグルグラスやiWATCHなどのスマートウォッチといったウェアラブル端末市場においても、さらなる小型・軽量・高性能な電子部品が求められているのは言うまでもないだろう。

 ちなみに、先ごろ矢野経済研究所が発表した「スマートグラスとスマートウォッチに関する調査結果2013」によると、スマートグラスの世界市場規模は、2016年には1,000万台規模に達すると見られており、スマートウォッチの世界市場規模に至っては、2013年ですでに1,000万台を予測、2016年には1億台規模に達することが見込まれている。

 ロームでは、今後ますます電子部品の小型化が求められるであろうこの市場をも視野に入れ、さらなる小型製品である0201サイズの量産化も検討を進めているという。また、03015サイズの量産化の他にも0402サイズのショットキーバリアーダイオード(SBD)のサンプル出荷など、「RASMIDシリーズ」を市場に順次投入することで、2016年には100億円の売り上げを目指すとしている。

 スマートフォンやタブレット市場の拡大、そして来るべきウェアラブル端末の巨大市場に伴う半導体市況の改善も追い風となって、日本の半導体復権を期待する声が高まっている。繊細で確かな技術力が求められる今こそ、日本のものづくりの力が世界の市場で改めて見直される時が来たのではないだろうか。尚、この電子部品は、10月1日~5日に幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区)で開催されるIT・エレクトロニクス総合展「CEATEC JAPAN 2013」のロームブースでも展示される予定となっている。(編集担当:藤原伊織)