8日、花王<4452>は、美白化粧品の影響で肌がまだらに白くなる白斑被害が続発した問題を受けて、2014年の1月に、子会社であるカネボウ化粧品の研究と生産の両部門を花王に統合すると発表した。この統合は、「白斑問題」を起こしたカネボウに対して、親会社である花王が関与を強めるための措置とみられる。将来的には、カネボウの事業の柱であり、美容部員らが多く在籍する販売部門に関しても、一体化を行う方針のようだ。こうして、かつては化粧品会社の名門として名高かったカネボウも、「白斑問題」により大幅な縮小を余儀なくされることとなった。
花王はこれまで、06年に買収を行ったカネボウの独立性を尊重し続けてきたが、こうした姿勢がグループ全体の一体化を遅らせる原因ともなっていた。そして今回カネボウが「白斑問題」の早期発見の機会を逸し、被害を1万4000人規模にまで膨らませてしまったことの反省を受けて、花王の主導による経営改革を進めることとなった。
しかし、研究と生産の両部門を統合するものの、花王は「カネボウ」というブランドはこのまま維持し続ける方針。しかし、今回の統合が計画通りに進めば、カネボウは「商品戦略」などの限られた業務だけを行う「事業会社」に縮小される。また、カネボウの社員1万3000人のほとんどが、花王に移る予定。
カネボウの研究部門と生産部門の統合は、来年1月から順次進められる。さらに来年7月には、カネボウの小田原研究所(神奈川県小田原市)を花王小田原研究所とし、花王のソフィーナなどの化粧品部門の研究員もこちらの研究所に移り、グループ全体の化粧品開発拠点とする予定。そして同時に、カネボウの小田原工場(同)も、花王によって新設された子会社によって運営されることとなる。さらには工場に50~60億円程度の投資を行い生産能力を強化することで、花王グループの化粧品生産を担えるものとする。こうした統合に伴う人員整理は行われない。
花王は「白斑問題はカネボウのみで対応できる問題ではない。これまで以上に強く経営に関与する」と述べている。(編集担当:滝川幸平)