【今週の展望】「安倍相場1周年」までは我慢のしどころか

2013年11月04日 20:04

 やはり、需給の壁は厚く、決算が良くても簡単にはね返す。裁定解消売り圧力はSQを何度通過しようとずっとベースにあり、ヘッジファンドの「45日ルール」による決算前の解約売りは11月15日頃まである。5月に買い建てした信用買い残が膨らんで、その制度信用取引の6ヵ月目の決済期日が11月末頃までどんどんやって来る。おまけに年末にかけて、来年から10%が20%になるキャピタルゲイン増税前の駆け込み売りも入ってくる。NISA(少額投資非課税制度)などでは、全く激変緩和措置になっていない。

 このように需給要因が悪すぎる上に、外部要因も敵に回っている。その一つは為替だ。少し前まで「好転している」と言われ、ユーロ高が進んでいたヨーロッパの実体経済だが、10月31日にユーロ圏の失業率が過去最悪、消費者物価指数(CPI)の上昇も0.7%まで鈍化し4年ぶりの低水準に落ち込んだことが明らかになった。そのためECB(欧州中央銀行)の追加金融緩和・利下げ期待が出てユーロは急落してしまった。ECBの定例理事会は来週7日にあり、そこでもし金融政策の変更がなされたら、ユーロ円の130円割れも覚悟しなければならなくなる。ドル円も、FRBの量的緩和の縮小開始時期が「年内はない」「来年春頃か」「いや、夏だ」と観測がどんどん先延ばしになっているような状況では、97~98円台をウロウロしている現在の水準から100円オーバーの円安に振れるのは、とても期待できないだろう。

 もう一つは、16日間の政府機関閉鎖の影響が出て、来週から発表が本格的に始まるアメリカの10月の経済指標が悪化して株式市場の足を引っ張る懸念だ。最も要警戒なのが週末の8日に出る雇用統計である。間の悪いことに今のアメリカの株価指数は史上最高値に近いので、そうでもなくても株価は下がりやすい。アメリカの株価下落は、日本の証券市場の重要なプレイヤーである海外の機関投資家のマインドを冷やしてしまいかねない。

 この上さらに、シリア問題の地政学的リスク発生とか、どこかの国の財政悪化の表面化などで「リスク回避の円買い」でも起こったりしたら、目も当てられない事態になる。

 それらを考え合わせると、需給が悪い上に為替の円高、アメリカの株安が重なって、来週の日経平均は低迷が予想される。それはいつまでかと言えば、楽観的なシナリオで言えばヘッジファンドの「45日ルール」による決算前の解約売りに区切りがつく11月15日頃が一つのメドではないだろうか。去年の11月15日といえば、その前日夕方に国会内で野田首相(当時)が自民党の安倍総裁に向かって「解散・総選挙しましょう」と言い放ち、政権交代期待の「安倍相場」と呼ばれる上昇相場が始まった、節目の日だった。

 1年前と今では景気も企業業績も大違い。昨年の9月中間期はソニー<6758>、パナソニック<6752>、シャープ<6753>の衝撃的な巨額最終赤字が明るみに出るなど、輸出関連企業の決算は超円高に苦しんでいた。今年の9月中間期決算の中身は、それとは地獄と天国ぐらいの違いがある。だが、繰り返しになるが決算による「業績相場」と日経平均とは、別物だと考えたほうがいい。

 少なくとも、「安倍相場1周年」の11月15日までの2週間は、ぐっと我慢のしどころになる。もっともこの状況は、バリュー投資で3ヵ月とか6ヵ月程度のスパンでキャピタルゲインを収穫したければ、銘柄を仕込んで種をまく絶好のチャンスと言える。好決算なのに売られて下落した銘柄は要チェックだろう。

 ということで、来週の日経平均終値の変動レンジは、前々週からのジグザグ模様をなお繰り返しながら14000~14500円とみる。もし急激な円高に襲われたりしたら14000円割れも覚悟だ。(編集担当:寺尾淳)