駆け込みが終了した住宅メーカーの今後

2013年11月16日 18:18

 消費税増税の影響から、9月の住宅業界の駆け込み需要には凄まじいものがあった。大手住宅メーカーの、9月度の戸建て住宅の受注速報を見ても、大和ハウス<1925>で対前年比プラス35パーセント、積水ハウス<1928>でプラス74パーセント、住友林業ではプラス65パーセント、ミサワホーム<1722>で19パーセントと、数値の差はあれ、いずれも大幅な伸びとなっている。

 1997年に消費税が3%から5%に引き上げられた際には、駆け込み需要とその反動によって、同年の住宅着工戸数は前年比で17.5%も減少し、市場は急激に冷え込んでしまった。

 しかしながら、今回はそのときの教訓を活かし、行政によるすまい給付金や住宅ローン減税の拡充が決定されていることからも、前回の消費増税時のような激しい反動はないだろうという見方もある。

 とはいえ、消費者の心理的には3%の上積みは大きな影響があることは想像に難くない。9月度の大幅な需要増の数値を見ても、それは明らかだ。もちろん、行政だけでなく住宅メーカー側でも、すでにこの駆け込み需要の反動への対策に乗り出している。各メーカーでは装備等の付加価値を付けて上質感を訴える住宅の販売強化の動きも見受けられる。

 大手住宅メーカーだけでなく、中堅のアキュラホームなどでも地域の各事業部が主導して、その地域の特性に合った住宅の開発をそれぞれ進めているという。また、住宅建築の作業工程を見直して工期の短縮を図るなど様々な角度から積極的にコストダウンに努める努力も行っているようだ。

 9月の駆け込み需要は大きかったといわれるものの、一部の住宅ジャーナリストからは増税実施後の方が行政の優遇措置や金利を踏まえると実は買い時なのではないかという見方もある。住宅検討者はじっくりと見極めたいものだ。(編集担当:藤原伊織)