【今週の展望】日経平均=ドル円×150+プレミアム200円?

2013年11月24日 20:13

 前々週末あたり、裁定買い残の積み上がりやNT倍率が開いたこと、オシレーター系のテクニカル指標の過熱シグナルなどをとらえて「5月23日が再現する」と警告する声も聞こえていたが、5月のように暴走気味だったわけでもないので「取り越し苦労」と思われていた。しかし、そうではなかった。改めて需給悪化の暗黒の病巣と、突然起こる急落の発作の恐怖を痛感させられた一日だった。「前の週に1079円も上昇すればこの程度の調整はくる」と軽く考える向きも多いが、5月23日の大引け後も調整、調整と言っていた。あれから半年も長引いて、何が調整か。

 半年前と今とで、株式市場を取り巻く状況はどう変わったか。日経平均225種のうち3月期決算企業の4~5月の本決算時と10~11月の中間決算時の予想平均EPS(1株当たり利益)を比較すると、620円から942円へ51.9%も向上している。5月22日のNYダウ終値は15307ドル、11月22日のNYダウ終値は16064ドルで4.9%上昇した。もっとも、5月22日と11月22日の取引時間前の為替レートを比較すると、ユーロ円は132円台前半から136円台前半へ円安が進んだが、ドル円は102円台前半から101円台前半へ約1円の円高になっていた。

 ということは、国内企業の業績が改善しようと、海外市場が株高になろうと、為替、それもドル円レートが102円、103円ともっと円安にならない限り、日経平均のこれ以上の高値は望めそうにない、ということではないのか。時の勢いで上に突き抜けたとしても、5月23日や11月22日のようにすかさず大口の先物売りが入って派手に押し下げられる。「全てはドル円次第」という傾向は、前週のザラ場中の日経平均とドル円の値動きを見比べてみればよくわかる。ドル円の10銭、20銭の動きが、日経平均の30円、50円の値動きと見事に同調している。約1年前の「安倍相場」初期の日経平均が、為替の円高方向への多少の戻しなど意に介さずに上昇し続けたのとは、明らかに異なった動きである。

 11月15日の取引開始時には、ドル円が100円を超えると同時に日経平均は15000円を超えていた。そこから単純に現状の日経平均は「ドル円の150倍が基準線」と考えてもいいのかもしれない。22日終値では基準線15150円に対して231円の〃プレミアム〃がついていた。今週の為替レートを予測するのは難しいが、ドル円が前週並みの99円50銭~101円50銭の範囲で動いたとして、それを150倍して200円のプレミアムがつくと仮定すると、15125~15425円になる。

 ということで、それに多少の上下幅を持たせて、今週の日経平均終値の変動レンジは15100~15500円とみる。アメリカの感謝祭ウィークで海外勢の参加が減り、国内外に「○○待ちの様子見」を起こしそうな大きなイベントも見当たらないので、変化の乏しい週になるだろう。(編集担当:寺尾淳)