防衛計画の大綱と中期防が閣議決定される

2013年12月21日 13:38

 17日、政府は「防衛計画の大綱(防衛大綱)」など中長期の安全保障の基本方針を閣議決定。中国の海洋進出に対し、陸海空の自衛隊の一体運用と機動力を強化すると共に、今後5年間の防衛費を増額した。また離島の防衛を想定して、新型輸送機や無人偵察機、水陸両用車などの調達に関する計画を打ち出すほか、武器輸出三原則の見直しについても触れられている。

 17日に閣議決定されたのは、外交と防衛の指針を初めて包括的にまとめた「国家安全保障戦略」と、およそ10年後の防衛力の指針を示す「防衛大綱」、今後5年間の自衛隊の装備目標を定めた「中期防衛力整備計画(中期防)」である。

 このうち具体的な装備計画である「中期防衛力整備計画」で、今後5年間にかかる費用を約24兆6700億円とし、2010年に民主党政権がまとめた5年間の費用から約1兆2000億円積み増した。ただし調達改革により7000億円ほど圧縮する方針のようで、実際は23兆9700億円となる見通しだ。

 「国家安全保障戦略」「防衛大綱」ともに、尖閣諸島を巡る中国側の動きや、北朝鮮のミサイル開発をにらんで、陸海空の自衛隊一体運用や機動力の強化などを打ち出してはいるものの、原則的には民主党が10年にまとめた前大綱と変わらない。

 しかし「中期防衛力整備計画」で防衛費を増やし、ティルト・ローター機、無人偵察機など最新装備の調達、また水陸機動団の新設計画などにより、防衛力の強化を図る。

 その一方で、ストックホルム国際平和研究所によれば、中国の国防費はこの20年で6倍に増えているという。今は日本の約3倍もの予算を計上している。こうした現状を受けて日本は防衛力強化を図ると同時に、アメリカを中心に韓国、オーストラリア、東南アジア諸国連合(ASEAN)、インドなどとの関係を強化させていく。

 そして北朝鮮の弾道ミサイルに関しては、ミサイル防衛システムを強化させ、発射基地を攻撃する能力に関しては「対応能力のあり方についても検討の上、必要な措置を講ずる」と明記した。(編集担当:滝川幸平)