東京都内のオフィス需要が高まっている。森ビルが公表した企業調査によると、「新たにオフィスを借りたい」理由は、5年ぶりに「業容・人員拡大」がトップとなった。また、「1年以内に移りたい」が昨年より若干増えるなど、大企業を中心に業績回復の傾向が伺える。
同社の「東京23区オフィスニーズに関する調査」は、23区に本社がある資本金上位の1万社を対象に、03年から毎年実施。今年は10月上旬~11月上旬にかけて行われ、2149社から回答があった。
「新たにオフィスを借りたい」企業の割合は、08年のリーマン・ショックで一気に落ち込んだものの、09年からは5年連続で2割を超えた。ただし、理由はこの5年で大きく変化している。09年から震災直後の11年までは、「賃料の安いビルに移りたい」がトップだったが、12年は「耐震性のすぐれたビルに移りたい」がトップに。そして13年は「業容・人員拡大のため」が5年ぶりに1位となった。
オフィス面積については「拡大」が2年連続でプラスとなった一方、「縮小」は2年連続でマイナスに。また「1年以内に移りたい」という企業が昨年よりも増加し、「3年目以降」が減少するなど、オフィス移転の理由が前向きのトレンドになっている。
業種別でみると、「製造業」「非製造業」のニーズは減少しているが、「金融・保険業」は昨年に引き続き、新規賃借ニーズが高まっている。
資本別では、「日本企業」が19%と昨年より減少。一方で「外資系企業」は増加し、27%となっている。都心のオフィス需要は、アベノミクスの恩恵を受けやすい金融・保険業、それも外資系が牽引しているのかもしれない。
「新たにオフィスを借りる予定がある」と回答した企業に希望エリアを尋ねたところ、金融・保険業の好調を受けてか、都心3区内の人気トップは「日本橋(16%)」、次いで「丸の内(13%)」「大手町」「虎ノ門」「六本木」がそれぞれ12%と続いた。(編集担当:北条かや)