震災時、あなたのオフィスは大丈夫?「棚をきちんと固定している」3割

2013年10月21日 18:38

 東日本大震災は、都市のオフィスで働く人々の意識に大きな影響を与えた。「とにかくビルが揺れて怖かった」「家まで15キロ歩いて帰った」など、当時の体験をリアルに思い出せる人は多いだろう。

 震災時のオフィスでまず重要なのは、働く社員の命を守ることだ。大きな棚などが倒壊し、ケガ人が出るリスクも大きい。ところが実際には、震災に備えて棚やキャビネットなどを「壁・床に固定している」企業は3割にとどまることが、ザイマックスの調査で分かった。食料や水の備蓄や安否確認に比べ、こうした「事前対策」を実施している企業の割合はやや低いようだ。

 ザイマックスが東京、大阪、名古屋のオフィスビルに入居するテナント企業にアンケートを実施したところ、「ヘルメットを従業員に配布している」企業は約3割、「従業員に避難場所を周知している」、「消火器・消火栓の使い方を周知している」企業の割合は5割程度か半数以下だった。

 東京都は今年4月、「東京都帰宅困難者対策条例」を施行し、企業に対して「全従業員の水や食料など3日分の備蓄」を努力義務とした。この条例の成果もあったのか、首都圏では「水」を備蓄している企業は75%にのぼった。一方で、条例で努力義務とされた「3日分またはそれ以上」の水を備えている企業は半数程度にとどまっている。大量の備蓄は、スペースやコストの面から厳しいのかもしれない。

 安否確認システムについては7割の企業が導入しているが、その手段は「携帯電話」が約60%、次いで「安否確認サービスの導入」34%となっている。震災時には携帯電話がつながりにくくなることが明らかになっているが、安否確認の手段は携帯に頼る企業が多いのが実情だ。

 東日本大震災以降、その必要性が指摘されているBCP(「事業継続計画」)については、策定している企業は38%と4割に満たなかった。震災からすでに2年半が過ぎたが、多くの企業にとって地震に対する備えはまだ手探り状態なのかもしれない。(編集担当:北条かや)