14日のNYダウは115ドル高で5日ぶり反発。12月の小売売上高は前月比0.2%増で市場予測を上回り、ウェルズ・ファーゴが過去最高益、JPモルガン・チェースは減益でも市場予測は上回るなど金融大手の決算は堅調。個人消費や決算への懸念が遠のき金融株に買いが入った。そうやって雇用統計の「7.4万人ショック」は癒されていく。15日朝方の為替レートは、ドル円は104円台前半、ユーロ円は142円台半ばで円安方向に戻った。
「細川ショック」のほうも癒されるか注目の日経平均は226.67円高の15649.07円で大幅反発スタート。それでも15700円にあと一歩届かず伸び悩んだが、「10時ホイッスル」で上昇を開始し午前10時10分頃に15700円を突破するが長続きしない。その後はじわじわ安くなり11時台には元のサヤに収まって、日経平均の上値は重い。前引けは15695.56円だった。後場、15700円台に乗せて始まってもすぐ押し戻されるが、今度は「1時ホイッスル」で上昇が始まって10日の安値15754円を上回り前日に空けたマド埋め完了。午後2時台は15800円に迫っても抜けなかったが、最後に386.33円高の15808.73円で高値引け。前日の下落を78.8%取り返し、日中値幅は172円だった。TOPIXも+25.44の1294.52で高値引けになり前日の下落を86.5%取り返した。売買高は26億株で5営業日ぶりの30億株割れ。しかし売買代金は2兆4265億円で、2兆円超えは12月18日から続き、そろそろ1ヵ月になる。
値上がり銘柄は1555で89%を占め、値下がり銘柄は159。全業種がプラスで、上位は保険、倉庫、不動産、陸運、機械、石油・石炭など。下位は情報・通信、空運、精密機器、その他製造、海運、鉄鋼などだった。
日経平均採用225種はプラス218銘柄、マイナス6銘柄で前日とほとんど真逆。プラス寄与度1~3位は「御三家」で合計プラス寄与度は+64円だが、前日の-135円の半分以下。前日の下落分をソフトバンク<9984>は43.7%、ファーストリテイリング<9983>は35.4%しか取り返せず、日中の先物の上値の重さを物語る。マイナス寄与度1位はクレディスイスが投資判断を引き下げ23円安だったニコン<7731>で-0.90円、2位はGSユアサ<6674>だった。
メガバンクは全て値を戻したが、地銀の横浜銀行<8332>が1円の逆行安。前日28円安の野村HD<8604>は10円高にとどまった。為替が円安に戻したので自動車は株価回復。2年連続で自動車世界販売トップになったトヨタ<7203>は買い戻され91円高でも前日の下落を62.3%しか取り戻せなかった。前日150円安のホンダ<7267>は35円高どまり、マツダ<7261>は12円高だった。自動車用ベアリングの大手が大きく上昇し、日本精工<6471>は78円高、NTN<6472>は38円高でともに昨年来高値を更新。ジェイテクト<6473>も98円高になった。
パナソニック<6752>は49円高で昨年来高値を更新。シャープ<6753>も8円高だったが、前日42円安のソニー<6758>は15円高と回復が鈍かった。前日逆行高したNEC<6701>は後場プラスに浮上し4円高で続伸。電子部品のTDK<6762>はSMBC日興証券が目標株価を引き上げ、320円高と大きく上昇し株価を5000円に乗せた。年末は過ぎたが「宇宙の大掃除大作戦」でJAXAと組む日東製網<3524>は41円高で連日の値上がり率1位。同4位の大崎電気工業<6644>と同6位のレーザーテックはいちよし経研がレーティングを引き上げてランキング入りした。同2位の山一電機<6941>と同5位の日本電子材料<6855>の半導体検査装置関連のコンビはまだ元気いっぱい。
前日は全面安に逆行高したヤマダ電機<9831>は反動で7円安だったが、主役だったエンジニアリング大手は力強く続伸。アメリカの建設大手とLNG事業で提携した千代田化工建設<6366>は112円高、悲劇の舞台アルジェリアのプラントが年内再開と伝えられた日揮<1963>は189円高でともに昨年来高値更新。東洋エンジニアリング<6330>も14円高だった。「細川ショック」で前日急落した東京電力<9501>は、共同調達などで火力の燃料費を年間6500億円圧縮する計画を明らかにし6円高と反発。一方、脱原発社会を見越した動きか、マザーズのエナリス<6079>が400円高、省電舎<1711>が500円高でともにストップ高になるなど節電・省エネ支援の関連銘柄が買われていた。
JXHD<5020>は、2020年をメドに燃料電池車用の低コストの水素供給ネットワークを構築するというニュースが日経新聞朝刊1面を飾った。株価は17円高で。他の水素ステーション関連銘柄は岩谷産業<8088>が46円高で昨年来高値を更新し値上がり率13位、大陽日酸<4091>が23円高、三菱化工機<6331>が11円高と軒並み高になっていた。前日午後4時すぎ、成田空港で出発準備中のJAL<9201>のバンコク行きボーイング787機から白煙が上がり、1年前にJALの国際線やANAHD<9202>の国内線で発煙・発火事故が起き6月まで運航停止になったバッテリーの不具合が疑われた。GSユアサは10円安で始まるが終値は4円安。前日にクレディスイス証券が強気の投資判断をつけたJALは70円高。ANAHDは2円高だった。
セブン&アイHD<3382>はサントリー食品<2587>と共同で100円の缶コーヒー「BOSS」を開発するニュースがあり82円高。サントリー食品は20円高。中身はサントリーで「セブンカフェ」とは異なる。グリー<3632>は、課金収入減で10~12月期の営業利益が前期比18%減の80億円の業績観測報道が出たが、市場予測よりましなのたので買い戻されて34円高。もっとボロボロになると見ていたアナリストが多かったらしい。
藤倉ゴム工業<5121>は東証が信用規制をさらに強化し信用担保率が50%から70%になると168円安で値下がり率2位。525円の大幅安で値下がり率3位のJIN<3046>は9~11月期決算を発表し、為替の円安と既存店不振で純利益が91%減と大幅の反動減。大量出店による人件費増加に競争激化も加わり多事多難で、「メガネのユニクロ」の花の命は短くて苦しきことのみ多かりき。命短し恋せよ乙女に支持される料理サイトのクックパッド<2193>は40円高。前日に世界ユーザー1億人突破の野望を明らかにした。
この日の主役は「重電メーカー」。日立<6501>は34円高で昨年来高値を更新し売買高6位、売買代金2位。東芝<6502>は英国のニュージェネレーション社から加圧水型原発3基、1.5兆円分を受注して同社株60%分を取得と発表して21円高で売買高2位、売買代金4位と、ともに商いを伴って上昇した。三菱電機<6503>も21円高。重電二番手グループも富士電機<6504>が19円高で昨年来高値を更新し、明電舎<6508>が19円高、安川電機<6506>が63円高で、三菱電機以外の5銘柄の株価は3.5%を超える上昇ぶりをみせた。同じインフラ輸出関連の重工メーカーの三菱重工<7011>は32円高で売買代金10位に入り、川崎重工<7012>は24円高で昨年来高値を更新と、ともに4.5%を超える上昇。このあたり、伝統があり有名で規模が大きい銘柄に買いが集まる「コンサバ志向」が現れているのだろうか。(編集担当:寺尾淳)