安倍晋三総理は29日の参院本会議で教科書検定基準の見直しについて「見直しは改正教育基本法の主旨を踏まえて、バランスのとれた教科書で子どもたちが学べるようにすることを目指すもの」とし「教科書の著作・編集を民間に委ね、各発行者の創意工夫を凝らした多様な教科書の発行を期待するという教科書検定制度の主旨を変えるものではない」とし、「戦前の国定教科書の復活につながるという心配には及ばない」とした。
安倍総理は道徳教育について「道徳教育は公共の精神や豊かな人間性を培うため、特別の教科として位置づけ、教育の目標、内容の見直し、教員養成の充実などを図ることにより、今後の時代に求められる道徳教育の実現をめざすもので、戦前の修身科の復活につながるものではない」とした。
また、教育委員会制度の見直しについても「教育再生実行会議の提言で、教育長を地方教育行政の責任者と明確に位置づけ、教育の政治的中立性、継続性、安定性を確保するための制度上の措置を講ずるとされている」と述べ、「この提言などを踏まえ、与党の助言も頂きながら、責任の所在があいまいな現行の教育委員会制度を抜本的に改革する」と答えた。民主党の神本美恵子参議院議員の質問に答えた。
神本議員は「教科書検定基準の見直しや道徳の教科化は戦前の国家に奉仕する人間育成のための国定教科書や修身科の復活につながるのではないかと危惧している」として「総理の認識は」と質した。(編集担当:森高龍二)