義務教育は科目別習熟度クラス教育を

2014年01月11日 14:11

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文部行政では小中学での英語教育のあり方や歴史、領土などに関わる教育が注目されるが、それぞれの家庭の経済事情で所得格差とともに広がる教育格差をどう解消するか

 文部行政では小中学での英語教育のあり方や歴史、領土などに関わる教育が注目されるが、それぞれの家庭の経済事情で所得格差とともに広がる教育格差をどう解消するか。教育現場を踏まえた教育効果のあがる制度設計こそが急がれる。

 裕福な家庭に生まれた子どもが小中学時代から塾や家庭教師つきで校外での教育をうける機会に恵まれる一方で、家計を助けるため家事手伝いなどに時間を割かなければならない子どもたちもいる。

 おのずと学校での学習の習熟度に格差が生じる。その状況は状況として踏まえながら、教諭の側にも教えやすい環境づくりが必要だ。

 高校や大学では一定の選考試験に合格した学生の集団になるので、各科目の習熟度において学校それぞれに最低ラインをクリアした学生が集まっている。少子化で学生確保のために、その基準も崩れつつあると危ぶむ声もある。

 実際、高校生の中には分数計算ができない生徒も出ているという。入試問題が回答を選ぶものになっているため、まったく理解できていなくてもすべての回答を(ア、イ、ウ)から「ア」ばかり選んで回答しても3割は確保できるような形になっているためだ。英語の聞き取り問題の回答でも同様らしい。

 高校に入ってから数学は中学1年に、英語も基礎に遡って教えなければならないという深刻な状況がある。一方で、有名進学校とされる高校では2年間で3年分のテキストを消化し、3年には志望校の入試傾向に絞った受験教育が行われている。

 同じ高校生でありながら習熟度の格差は想像以上に大きい。この問題を解決するには、少なくとも義務教育期にそれぞれの科目の基礎を確実に身につけさせることが求められる。

 クラス担任を置くホームルームとしてのクラスとは別に、国語、数学(算数)、英語、社会、理科、音楽、体育など科目ごとに習熟度に応じたクラス編成を行い、科目ごとに子どもが自身のレベルにあったクラスで授業を受けることができるようにしていくべきだろう。

 現行では、教諭はクラスの中間レベルに照準を合わせた授業をしているため、習熟度の高い子どもは授業に退屈し、習熟度の低い子は授業の内容が理解できずに授業放棄するなど、単に苦痛な時間でしかなくなる。

 教諭も習熟度別クラス編成の場合にはクラスごとにレベルに応じた教え方ができるため、授業プランが立てやすくなるはず。

 また子どもは学習のつまずきから解放され、着実に自身のレベルを上げていけるだろう。数学はレベル1だが、体育はレベル10、体育は1だが数学は10、極端だが、それぞれがそれぞれに自身のレベルを把握し、自身の特長や弱点を客観視できることにもつながる。子どもたちの中でもそれぞれの個性を評価し合えるだろう。

 ある科目について出来る子、出来ない子ではなく、それぞれが現況レベルの確認の中から、最も教育効果の上がる教育を受けることが可能になる。それは科目ごとの習熟度別クラス編成での教育にほかならない。そのことによって、教育の底上げと、よりハイレベルな教育が実現できよう。全国の自治体のどこかでモデルケースの構築を期待したい。(編集担当:森高龍二)