教育委改革や道徳教育教科化に懸念 公明代表

2014年01月31日 08:06

 公明党の山口那津男代表は30日の参院本会議で、教育委員会制度について「いじめや体罰など、学校での事件をきっかけに形骸化が指摘されており、公明党としても見直しをする必要があると考えている」と制度改革の必要についての認識を示す一方で「中央教育審議会が示した改革案では教育行政の権限を合議制の教育委員会から政治家である首長に移行するとしており、この案で教育の中立性が保てるのか疑問を禁じえない」と懸念を示した。

 また、山口代表は「教育委員会制度の検討については、さらに検討を重ね、教育の政治的中立性や継続性、安定性を制度的に担保したうえで、教育委員会が十分な責任を果たせる体制に改めるべきだ」と慎重な審議での取り組みの必要を提起した。

 また、安倍総理が道徳を特別の教科と位置づけると施政方針演説で示したことについては「道徳教育の充実に関する懇談会の報告書の中では、検定教科書の発行や教員養成課程における道徳教育の充実など一定の方向性が示されたが、道徳教育の主眼は学校教育全体の下、教師が子どもの視点に立ちながら他者とともに生きる大切さや社会規範意識など、生きる上での基盤となる価値観を自ら培えるよう教え、育むことにある。しかし、懇談会の報告書に副い、検定教科書や教員養成課程の認定などを導入することには国が特定の価値観を押し付けることにもつながりかねない、つながるのではないかと懸念する声も根強くある」と少なからぬ国民が懸念していることを示し「道徳教育を特別の教科と位置づけるにあたっては、こうした意見にも十分耳を傾け、教育現場の実情も踏まえて慎重に検討する必要がある」とした。

 安倍総理は「教育再生実行会議の提言では教育長を地方教育行政の責任者と明確に位置づけ、教育の政治的中立性や継続性、安定性を確保するための制度上の措置を講ずるとされている。その提言などを踏まえ、責任の所在を明確化し、子どもの身体、生命を守るために緊急の必要性がある場合にも迅速に対応できるようにするなど、与党の意見も伺いながら教育委員会制度を抜本的に改革していく」と答えた。

 また、安倍総理は道徳教育について「公共の精神や豊かな人間性を培うため特別の教科として位置づけ、今後の時代に求められてくる道徳教育の実現を目指すもの」と答え、「道徳教育の現状を踏まえ、道徳教育に関わる方々の意見をうかがいながら、具体的なあり方について適切に検討していく」とした。

 山口代表の指摘の通り、道徳教育が国による特定の価値観の押し付けにならないよう担保されたあり方を検討することが強く求められている。(編集担当:森高龍二)