31日、阪急阪神百貨店を傘下に持つH2O(エイチ・ツー・オー)リテイリング<8242>と、関西地盤のスーパーのイズミヤ<8266>は、6月1日付で経営統合すると発表。株式交換によりH2Oリテイリングがイズミヤを完全子会社とする。既存店の店名変更などは行われない。そして今回の経営統合により、関西において百貨店からスーパーに至る多種多様な業種を抱え持つ総合小売サービス業グループの実現を目指す。
31日、大阪市内でH2Oリテイリングの椙岡俊一会長兼最高経営責任者(CEO)と、イズミヤの林紀男会長が会見を行い、今回の経営統合を発表。そして統合に対するそれぞれの期待や展望などを語った。またH2Oリテイリングとしても統合に関してコメント出しており、そこで、「少子高齢化に伴う消費活力の減退、ネット通販の拡大を中心とする購買スタイルの変化等、消費動向が急速に変化するなか、お客様からの支持をより強固なものとすることが急務」との認識から、H2Oリテイリングとイズミヤが統合を協議・交渉を開始したとの経緯を説明している。
イズミヤの株1株に対して、H2Oリテイリングの株0.63株が割り当てられる。またイズミヤの普通株式は東京証券取引所において上場廃止となる予定だ。H2Oリテイリングの2014年3月期の売上高は5700億円で、イズミヤの14年2月期の売上高は3500億円の見通しだ。それらを単純計算で合わせると1兆円近くになる。
さらに経営統合後には、H2Oリテイリング、イズミヤそれぞれのポイントカードを共通化し、食品分野においても共同で商品開発を行う。それ以外にも惣菜工場や原料調達なども統合し、合理化を進める。また高齢化に伴う需要を見越して、宅配サービスなどにも注力するという。
H2Oリテイリングは高級スーパーである「阪急オアシス」を約70店展開していて、それに約90店あるイズミヤを加えることにより、商品調達などの面で競争力を高めたい考えだ。またH2Oリテイリング、イズミヤの双方のポイントカード会員は、合わせて約700万人。こうした顧客情報を武器に、さらなる収益拡大を目指す。(編集担当:滝川幸平)