海外の経済指標は、10日はフランスの12月の鉱工業生産、11日はアメリカの12月の卸売在庫・売上高、12日は中国の1月の貿易収支、フランスの12月の経常収支、ユーロ圏の12月の鉱工業生産、アメリカの1月の財政収支、13日はドイツの1月の消費者物価指数(CPI)確報値、アメリカの1月の小売売上高、12月の企業在庫、14日は中国の1月の消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)、フランス、ドイツ、ユーロ圏の10~12月期の国内総生産(GDP)、ユーロ圏の12月の貿易収支、アメリカの1月の鉱工業生産・設備稼働率、2月のミシガン大学消費者信頼感指数速報値が、それぞれ発表される。
イエレンFRB議長は、11日に下院金融サービス委員会の公聴会で、13日に上院銀行委員会の公聴会で、それぞれ議会証言を行う。11日にフランスのオランド大統領がアメリカを訪問しオバマ大統領と会談。12日はMSCIインデックス銘柄の定期入れ替えが発表される。13~14日にブリュッセルでEU首脳会議が開かれ、15日から月末の28日まで、中国浙江省の港町、寧波でAPEC第1回高級実務者会合が開催される。
アメリカ主要企業の決算は、11日はスプリント、12日はディア、シスコシステムズ、エヌビディア、13日はAIG、アプライド・マテリアルズ、14日はVFが発表する予定になっている。
月が変わっても、ツキは変わらなかった。前々週は「株価指数は変調、個別株はしっかり」だったが、前週は「株価指数は相変わらず変調、個別株も変調」だった。個別株を追い込んだと指摘されたのが「追証」、つまり信用取引の追加保証金で、かつてバブル崩壊期にはこの追証が「下落の増幅装置」の役割を果たし、多くの個人投資家に二度と株式投資に戻れないほどのダメージを負わせ、多くの証券営業マンに会社と投資家の板ばさみの辛酸をなめさせ、証券界から去らせた。そうやって多くの関係者を不幸に陥れた「証券界弱体化マシン」で、この世界で最も忌まわしく、呪われた言葉と言ってもいい「オイショウ(オイショ)」が、ついこの間までアベノミクス相場で沸いていた兜町にゾンビのように蘇ってきた。
追証の最大の罪は、投資家からゾンビのような「死に金」を強制的に巻き上げる点にある。追加証拠金を求められる信用取引とはすなわち「失敗が確定してしまった投資」で、人間は誰でも失敗したことを反省はしても、できればそれを早く忘れて、身軽になって出直したいと思っている。しかし追証は後始末をせよと利益を全く生まない追加の金銭(死に金)を早急に要求し、次の生きた投資に使うための「生き金」の中から容赦なく奪っていく。もし手持ちの余裕がなければ換金売りを行って、現在運用中の生きた投資を途中で〃殺し〃た上で死に金を貢がなければならない。まるでゾンビが増殖していくような重苦しさ満点の追証の差し入れを迫られた投資家は、そうやって改めて失敗時の〃懲罰〃の大きさを思い知らされるから、株式投資をやめてしまいたくなるのだ。
これを「信用取引で一度は甘い夢を見たんだろう」「自業自得だ」と突き放すのは簡単で、それはそれで理にかなっている。株式投資は自己責任で成り立っているからで、損失を自分で補てんしなければ次に進めない。とは言っても、日本株全体の投資環境として見た場合、あっちで追証、こっちで追証と方々で火の手があがるのはきわめて不健全。そんな一部の銘柄の下落の後始末のために、本来なら大量に売られるはずのない銘柄まで換金売りで株価が下がってしまうからである。前週4日のトヨタ<7203>の331円安あたりには、そうした気配が漂っていた。