そんな「諸悪の根源」の追証は、どこまで処理されたのか。7日現在の信用取引現在高のデータが東証からまだ発表されていないので正確にはわからないが、「週前半でかなり消化して峠を越した」という市場関係者のコメントがいくつか出ている。中・小型株の下落がきつく3、4日の業種別騰落率が全業種マイナスだった点、4日に売買高が42億株と膨脹した点、4、5日の売買代金が3兆円をオーバーした点などがその傍証になるかもしれない。もしその通りに追証処理の「アク抜け」ができたとすると、5日は171円高で、6日は最後でマイナスになったが日中ほとんどの時間がプラスで、7日は307円高で終えたことを「セリング・クライマックスすでに通過」のシグナルと解釈することもできそうだ。傍証ばかりでもどかしいが、「追証処理はすでに峠を越した」とすると、今週の市場環境はそれだけ好転することになる。
もう一つ、今週の環境を良くしそうな要素が「重要イベント通過」である。7日のアメリカの雇用統計があるから日経平均は様子見ムードで上値を抑えられ、ザラ場中に突然、先物主導で急落を喫したりした。その1月の雇用統計は、非農業部門雇用者数は11.3万人増で12月より改善したが市場予測の17~18.5万人を大きく割り込んだ。しかし失業率が6.6%まで低下し、製造業や建設業の雇用者数の伸びが堅調だった点を評価されて7日のNYダウは165ドル高になった。これで心配されたイベントを悪くない形で通過できたと言える。今週もイエレンFRB議長の議会証言があるが、金融政策の説明なので雇用統計ほどのインパクトはないだろう。
今週、追証の悪影響が小さくなり、重要イベントを通過した安心感がひろがると、今たけなわの決算の内容を受けて株価指数が素直に上昇し、1月の水準を回復する環境が整うことになる。14日はマイナーSQだが、一か八かのイベントドリブンを偏愛するような一部のアブノーマルな投資家ではなくノーマルな投資家の立場であれば、オプションのポジションを期先にロールオーバーする大事な時期にボロボロ下がりすぎた日経平均の水準が早く元に戻ってほしいはず。そのメドは1月最終週の15000円付近ではないだろうか。
ということで、今週の日経平均終値の変動レンジは、前週から環境が好転して14400~15000円とみる。もし、ソチ五輪で日本の選手が健闘してメダルをザクザク取ってくれたりしたら市場心理的にも鬼に金棒。連日、日本のメダル獲得ラッシュに沸いた2004年のアテネ五輪では、8月13日の開会式から8月29日(日曜)の閉会式翌日の30日までの間に日経平均終値は3.9%上昇している。ガンバレ・ニッポン株。(編集担当:寺尾淳)