【日経平均】255円高と大幅続伸し今年の週明けの初白星

2014年02月11日 02:51

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東証1部全体の値上がり銘柄は8割に迫る1410、値下がり銘柄は304。33業種別騰落率は31対2で値上がり業種優勢だった。

 三菱重工<7011>は大和証券がレーティングを2段階引き下げ5円安。荏原<6361>は好決算を背景に40円高で4日続伸。試作品製作大手のアーク<7873>は4~12月期決算発表で通期の最終利益を51.5億円から73億円に上方修正したのを好感され44円高で値上がり率2位に入った。オリンパス<7733>の4~12月期の営業利益は約2倍、経常利益は3.9倍の341億円に達し、ゴールドマンサックスが目標株価を下げようと225円高。住友金属鉱山<5713>は純利益13%減という通期業績見通しを出しても6円高だったが、通期業績見通しが営業利益6%減の旭硝子<5201>はゴールドマンサックスが目標株価を引き下げ、39円安で年初来安値を更新し値下がり率9位になっていた。

 クボタ<6326>は国内で農機の駆け込み需要が起きていて、今期の業績見通しで経常利益を上方修正し9年ぶりに最高益更新になる見通し。しかし売買代金11位でも56円安。市場予測に届かなかったが、4月決着がささやかれるTPP交渉も無関係ではなさそうだ。TPPについては農林水産省の役人が政治的バイアスてんこ盛りで試算した「日本農業3兆円減収」の数字がいまだに一人歩きしており、それが4月以降の駆け込み需要の反動減とともに、国内需要の先行き不安要素としてクボタの株価を下押ししたのかもしれない。

 東京都知事選挙は「原発再稼働vs脱原発」の構図がクローズアップされ、株式市場は勝手に「東京電力<9501>vsエナリス<6079>」をあおって盛り上がったが、結果は事前の情勢分析通りに脱原発サイドが敗れた。東京都が4267万株を保有する東京電力は売買高も売買代金も2位に入りながら10円安。エナリスのほうはマイナスで始まったが14円高の小幅高で終えた。エナリスと同じ省エネ関連の省電舎<1711>は94円安だった。伊藤忠商事<8001>は傘下の伊藤忠エネクスが2016年度をメドに家庭用電力小売に参入すると報じられ22円高。500~600億円を投資して火力発電施設を2基増設し、販売電力量は10億キロワット時に達するという。資源・エネルギーが収益の主力の三菱商事<8053>は2円高で4日続伸した。自民党が「水素エネルギー推進委員会」を2月中に発足させると報じられ、水素エネルギー関連の岩谷産業<8088>は17円高になったが、大陽日酸<4091>は2円安だった。

 コールセンター大手のもしもしホットライン<4708>は4~12月の経常利益が59.3%の大幅減。特に10~12月は80.6%減と深刻で46円安で年初来安値を更新し値下がり率16位。人件費の高騰が大きく響いている。AOKIHD<8214>も配当見通しを増額しても10~12月期の営業減益が嫌気され64円安で年初来安値を更新した。一方、JIN<3046>は下げ止まって235円高と大幅反発し値上がり率10位。ユナイテッドアローズ<7606>も決算でつまずいた続落から反発をみせ290円高で値上がり率12位。

 吉野家HD<9861>は2ヵ月で700万食突破の「牛すき鍋膳」効果が続き29円高で昨年来高値更新。「牛すき鍋定食」を14日からメニューに加えると発表し「牛鍋戦争」の宣戦布告をしたゼンショーHD<7550>は野村證券が目標株価を引き上げ16円高だった。家庭教師派遣のリソー教育<4714>はNHKニュースで退会した生徒の受講料を返金せず売上に計上する水増し疑惑が報道され、真偽確認のため東証は後場の0時56分から2時51分まで売買停止措置をとった。会社は約80億円の粉飾を認め、前場プラスだった株価はストップ安の100円安で値下がり率1位。以前から会計処理や資本政策に問題があり「名門会」の名に傷がついていた。

 こちらはきちんと返金する「ガチャ課金問題」で前週末に下げたゲーム関連は反発。震源地のスクエニHD<9684>は売買代金4位で137円高、サイバーエージェント<4751>は365円高。クルーズ<2138>は255円高、DeNA<2432>に至っては売買代金9位の298円高で値上がり率3位に入った。ガチャと無縁の任天堂<7974>は615円高で12000円台を回復していた。韓国NHNと業務提携し「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」韓国語版も配信開始するKlab<3656>は45円高。女子トキメキの14日のバレンタインデーを前に5日に新作恋愛ゲーム「今夜アナタと眠りたいSeason2」を投入し好調のボルテージ<3639>は109円高。「秋の夜をひたすら学ぶ六法に恋という字を見出さざりけり」と短歌に詠んだ憲法学者がいたが、最近の市況解説なら何度も見出せる。

 この日の主役はサイボウズ<4776>。一時ストップ高の80円高で値上がり率1位になった。オフィス内の情報共有とコミュニケーションのツール「グループウェア」でよく知られる存在で、7日大引け後に2013年12月期の経常利益を1.9億円から2.6億円に上方修正し、期末一括配当を173円から206円に増額修正した。単体の配当性向は50%がメドで、自社株買いもたびたび実施する株主還元に熱心な会社というイメージがあり、日頃の行いが良いためか、業績の上方修正に投資家が敏感に反応してくれていた。(編集担当:寺尾淳)