農業にも「見える化」の波。躍進するスマホ農業

2014年03月02日 19:36

 農業のIT化が急速に進んでいる。高齢化や後継者不足、TPP問題など、農業をとりまく環境は決して明るいとはいえない。しかしながら、これらの問題をIT技術で補うことで活路を見出そうとする動きが活発になってきているのだ。

 農業のIT化は、センシング技術や通信技術など最新のIT技術を駆使して農作物の生産を管理し、情報収集を行い、バイオテクノロジーなどのハイテク技術とも融合させながら効率を高めていく、農業の新しいカタチだ。さらには生産だけでなく、販売や流通に至るまで、まさに「業」として必要なあらゆる知識とデータを収集、蓄積し、活用していく。これにより、耕地あたりの効率を上げるだけでなく、経験や知識が乏しい若者でも、ベテランの経験や知識を継承しやすくなるため、農業をはじめるハードルが格段に低くなる。後継者不足や高齢化問題の解消に期待がかかるのも当然だろう。

 市場調査会社のシードプランニングが今年1月にまとめた「農業IT化の市場規模予測」によると、2013年の市場規模は66億円。しかし、20年には2013年比約9倍の成長を見込み、580~600億円の市場規模に躍進すると予測している。なかでも、農業クラウドサービスが2013年比約28倍の大幅な伸びとなり、農業IT化市場の75%を占めるまでに成長すると予測している。

 例えば、滋賀県彦根市の農業生産法人・フクハラファームの水田の脇にはICタグの立看板が備えられており、これにスマホをかざし、作業の内容や稲の生育具合などを農業情報システム「農匠ナビ」に送るというシステムを利用している。

 また、みかんの生産高で全国1位を誇る和歌山県の中でも高品質で美味しいみかんとして知られるブランド「有田みかん」の産地である和歌山県有田市の株式会社早和果樹園では、通信システムと情報処理システムの雄、富士通株式会社<6702>とともに、みかん栽培へのICT活用に関する実証実験を2011年から開始している。センサーやスマートフォンを用いて従業員の作業記録や栽培データはもちろん、5,000本におよぶ樹木の一本一本にIDナンバーを付与し、膨大なデータを収集し、富士通のデータセンターに蓄積。データは従業員がパソコンとインターネットを用いて閲覧することが可能で、次期生産活動に活用しているという。

 また、流通分野では、農作物の生産過程をスマホやタブレットを使った「見える化」も進んでいる。生産状況などの情報をSNSやブログなどを通して発信することで、農作物の安心・安全を付加する生産者も徐々に増え始めている。また、レストランやショップ、スーパーなどの小売店と、農家とのコラボも盛んに行われるようになってきた。

 IT化に加え、企業の農業市場への参入も増えていることから、農業全体のイメージが大きく変りつつある。スマホやタブレットを使ったIT農業が今後、若者が最も望むスマートな職業になる日もくるかもしれない。(編集担当:藤原伊織)