小さな企業に光あてる 茂木経済産業大臣

2013年02月18日 20:06

 民主党の植松恵美子議員は18日の参議院予算委員会で、インフレターゲット2%上昇と労働者の給料増について「物価の上昇に従って給料も上がればいいが、どうも給料が上がる気がしないという声が多い」と地元集会などで聞く声をとりあげ、安倍晋三総理らの考えを質した。

 植松議員は「安倍政権は社員の給与を増やしたり、雇用を増やした企業には法人税を減税することを予定しているが、法人税を納めている企業は儲かっている企業であり、日本の企業の7割は欠損法人で、中小企業になればなるほど欠損率が高くなっている」と指摘。そのため、法人税以外で企業の従業員に対する利益の給与への転嫁促進策を考えているかなどを質した。

 安倍総理は「法人税を払っているところは確かに少ないが、デフレ経済の原因によるところが大きい。為替の問題もある。そうした中で、これまで法人税を全く払っていなかったところが今度は払うというところが増えてきている」とし「トヨタも国内では赤字だが、状況がかわり、黒字になる。また企業収益が改善なっていけば、それから従業員の給与があがっていくという順になる。そのサイクルをなるべく短くするために、経済界のみなさんに賃金や一時金で対応して頂きたいとお願いしている。変化が起こってくると思う」と期待を示した。

 また、植松議員は中小零細企業の支援策となってきた中小企業金融円滑化法が3月に切れるが、これにより5万社から6万社が立ち行かなくなるといわれているとして、政府の対応を質した。

 これに甘利明経済財政政策担当大臣は「同法の対象企業は30万社から40万社あるが、その中で丁寧な対応が必要な会社が5万社から6万社と言われている。地域の金融機関は地域の中小零細企業がお客様なので、これへの対応を誤るとお客自身を失うことになるので、丁寧な対応をするようになるし、金融庁としても丁寧な対応をするよう指導している。順ずる対応をせよと指導している」と答えた。

 そのうえで「地域の金融機関などが経営改善計画をつくる場合にマンパワーが不足していると思うので、人を派遣する仕組みもつくっている」などと答えた。

 麻生太郎財務大臣は「5万社から6万社の中も千差万別で、最初から手形のジャンプをさせているだけのところは速やかに他の会社と一緒になる(などの方法もある)など、内容を精査して、また、少なくとも金融円滑化法が切れたとたんに倒れるようなことのないように指示している」とした。

 また、民主党政権時代に当時の枝野幸男経済産業大臣が中小企業庁が見落としてしまいそうな小さな商店などを支援するため「小さな企業未来会議」を設置し、全国で直接に生の声を聞いて歩いたが、そこで集まった声を政権が変わっても政策に生かしていくべきと思うと植松議員が質したのに対し、茂木敏充経済産業大臣は「様々な声を拾っていただいて大きな成果をあげていると思っている。われわれは、それを発展させていきたい」とし「小さな企業未来会議は今後、小さな企業成長本部に格上げし、今月、第1回目の会議を安倍総理にも出席頂いて、東京の霞ヶ関でなく、中小企業のある場所で開きたいと思っている」と語った。

 また、茂木経済産業大臣は「われわれはこれから小さな企業に今まで以上に光をあてていきたい」と答弁。「街の技術にもいい技術があるので、補正予算でも1000億円をあてており、技術を事業化する試作品をつくるための支援を全国1万社を対象に実施していきたい」とも語った。(編集担当:森高龍二)