通信関連はNTT<9432>が112円高で売買代金8位、KDDI<9433>が26円高で同11位に入り、11円高のNTTドコモ<9437>、ソフトバンクともども好調。化成品の日本カーバイド工業<4064>が16円高で売買高9位と買われたのは低位株物色が盛んだったせいか。配当予想を上方修正したイーグル工業<6486>は28円高で昨年来高値更新。普通配に記念配を加えて期末配当予想を18円とした。26日の権利確定イベントが近づくと増配の発表が増える。太平洋セメント<5233>は住宅需要の回復に伴う北米事業の6年ぶりの黒字化が伝えられ17円高。値上がり率16位、売買高5位に入っていた。
キヤノン<7751>は前日に経営方針説明会を開いたが、「成長期待は薄い」などアナリストの反応は冷ややかで3円安。資源関連の住友金属鉱山<5713>は銅価格の低下の影響を受けて3円安。TOTO<5332>はSMBC日興証券がレーティングを引き下げて18円安。キリンHD<2503>は214億円の自社株買いを発表したものの6円安。三井物産<8058>は売買代金9位だったが3円安。伊藤忠商事<8001>はエドウィンHDの再建を引き受け、完全子会社化して損失500億円の6割を超える300億円強の支援を行うと発表し下落承知の9円安。損失の残りは債権放棄を求めるという。
1月に突如、飛び出した生命科学の新テーマ「STAP細胞」に疑惑浮上。理化学研究所との共同研究者が論文取り下げを提案する事態になり、関連銘柄と目された新日本科学<2395>が43円安で値下がり率14位、リプロセル<4978>が69円安、カイオム・バイオサイエンス<4583>は9.64%下落の510円安。大引け後に理化学研究所は「論文の信頼性、研究倫理の観点から論文の取り下げを視野に検討」と文書でコメントを発表した。「割烹着のリケジョの星」の運命やいかに。
ヤマダ電機<9831>はJPモルガンが3月の駆け込み需要に期待してレーティングを引き上げて8円高。21~23日は「駆け込み買い連休」で日本全国の小売店舗は史上空前の人出になる予測がある。2月期の営業利益14%増という業績観測記事が出て16円高の高島屋<8233>も、180円高のファーストリテイリング<9983>の「ユニクロ」も、175円高で値上がり率13位のユナイテッドアローズ<7606>も、決済をスマホで行えるようにして実店舗に来店誘導するという記事が出て2円高のパルコ<8251>も、来店客でごった返しそうだ。日経新聞に掲載されていた民間エコノミスト12人の予測の平均は、日本のGDP成長率は4~6月期に反動減で-3.9%のマイナス成長に落ち込むが、7~9月期は+2.5%に回復するという。
3年前の「計画停電」の日々は忘れても、3月11日になるとエネルギーに関心が向く。この日を7円安で終えた東京電力<9501>福島第一原発の廃炉作業用ロボットを開発した日立<6501>は6円安。原発再稼働のメドが立たず営業収入が入らない日本原子力発電が借り入れた約1000億円の債務保証の支援継続を決めた関西電力<9503>は22円高、中部電力<9502>は17円高、東北電力<9506>は8円高、北陸電力<9505>は19円高。競争を促す目的で経済産業省がガス取引所の設立を検討すると報じられ、東京ガス<9531>は売買高15位で14円高、大阪ガス<9532>は9円高、東邦ガス<9533>は15円高とそれぞれ株価を上げていた。
この日の主役は、日銀会合結果発表後の先物売りに屈することなく日経平均を3ケタ高に押し上げたソフトバンク。最近はほぼ指定席の売買代金トップ。205円高で終値を8000円台に戻した。孫正義社長はただいま訪米中で、11日のワシントンDCの商工会議所での講演を前に10日、公共放送PBSのテレビ番組「チャーリー・ローズ」に出演し、TモバイルUSの買収について「挑戦してみるしかない」と意思が固いところをみせ、買収に成功すればアメリカのモバイル市場に大胆な価格競争を持ち込むと述べた。それも東京市場での値上がり率2.57%の大幅反発につながった。政治家も介入してくる反トラスト法の恣意的解釈運用との戦いに、いざ出陣。(編集担当:寺尾淳)