【日経平均】主力株も新興市場も崩れて無力感の238円安

2014年03月20日 20:35

 19日のNYダウは114ドル安。FOMCの声明文は量的緩和の証券購入額を100億ドル縮小し、フォワードガイダンスの政策金利見直しのメド「失業率6.5%」を撤廃。事実上のゼロ金利解除には幅広い指標を考慮するという慎重な言い回しで、そこまではよかった。ところがイエレン議長が記者会見で、量的緩和終了後から利上げまでの「相当な期間」とはどの程度かと問われ、はぐらかせばいいのに「6ヵ月程度」と答えたため「FRBは2015年春頃に利上げを意図」と解釈され、時期が市場の見方より早いのでNYダウは約170ドルも急落した。前任者もひと言多くて失敗したが、イエレン議長は「マーケットとの対話」とはガールズトークではなく生きるか死ぬかの真剣勝負なのだと思い知ったはず。20日朝方の為替レートはドル円は102円台半ば、ユーロ円は141円台後半で、アメリカの早期利上げ観測でドル高円安が進行していた。

 取引時間前の外資系証券の売買注文動向は売り越し。シカゴCME先物清算値は14500円で権利配当落ち分80円を足すと14580円。日経平均は86.24円高の14548.76円で14500円台に乗せて始まる。しかし円安を好感したプラスの時間は約30分で終わり。利益確定売りが出やすい3連休前で、しかも取引開始後に為替が円高方向に動いたこともあり、先物主導で断続的な売りが入って午前9時50分に14367円まで下落した。その後は14400円をはさんで一進一退。上海、香港市場がマイナスで始まると10時35分には14334円まで下落する。前引は14386円だった。

 後場は開始直後に14300円を割り込み、14200円台、前日比200円安前後でもみあって、浮上できないまま時間だけが経過する。2時20分すぎには14300円台に乗せる時間帯もあったが長続きせず、終値は238.29円安の14224.23円と反落して、2勝2敗、前週末比で103.43円下落して今週の取引を終えた。日中値幅は341円もあった。1週間で946円も下落した前週の対内株式投資が1兆924億円という統計開始以来最大の売り越しだったと朝方発表され、海外機関投資家はいま「アベノミクス見切り処分」に出ているのではないかという受け止め方もされていた。TOPIXは-18.36の1145.97で続落。東証2部指数は-2.27%、マザーズ指数は-4.64%、ジャスダックインデックスは-2.19%で、まさに「日本株完敗」の日となった。連休前の最終売買日だったので東証1部の売買高は24億株、売買代金は2兆2366億円とやや多かった。

 東証1部の値上がり銘柄は176、値下がり銘柄は全体の87%を占める1578。33業種別騰落率は全てマイナスで、下落幅が小さかった業種はその他金融、卸売、小売、電気機器、鉱業、食料品など。下落幅が大きかった業種はパルプ・紙、不動産、建設、電気・ガス、精密機器、鉄鋼などだった。

 日経平均採用225種の値上がりはたった10銘柄で、値下がりは213銘柄。プラス寄与度1位は690円高と大幅続伸し値がさ株には珍しく値上がり率9位に入ったファナック<6954>で+27円、2位は豊田通商<8015>で+1円。マイナス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で-30円、2位はソフトバンク<9984>で-15円だった。

 メガバンク3行も証券大手も全て下落。日本自動車工業会が2014年度の新車販売台数は前年度比15.6%減の475万台という見通しを出した自動車もほぼ全滅でトヨタ<7203>は83円安。大量リコール問題でアメリカ司法省と制裁金1200億円の支払いで和解した。自動車部品のデンソー<6902>はクレディスイスが目標株価を引き下げて160円安で、今週4日間で398円も下落した。電機大手で唯一26円の独歩高だったのがソニー<6758>で、部品メーカーを選別して現状の4分の1の250社に絞ると報じられた。だが日産<7201>が「取引先半減」を掲げて部品メーカーの怨念が渦巻いた「リバイバルプラン」の記憶はまだ生々しいが……。

 コマツ<6301>は30円安で8日続落し、不動産大手はこの日も揃って大幅安。その一方でJT<2914>は12円高。パソコン周辺機器でおなじみのエレコム<6750>は来月9日に迫ったウインドウズXPサポート終了前の特需があり、144円高で昨年来高値を更新して値上がり率1位になった。