今週の新規IPOは8日に2件ある。8日はトレックス・セミコンダクター<6616>がジャスダックに新規上場する。東京が本社で半導体デバイスの研究開発、設計、製造、販売を手がける。公開価格は5000円。分野はアナログの超小型電源ICに特化している。同じ8日に丸和運輸機関<9090>が東証2部に新規上場する。埼玉県吉川市が本社で企業の物流業務のアウトソーシング受託「サードパーティ・ロジスティクス(3PL)」を手がける。公開価格は3400円。
海外の経済指標は、7日はドイツの2月の鉱工業生産指数、アメリカの2月の消費者信用残高、8日はフランスの2月の貿易収支、英国の2月の鉱工業生産指数、9日はドイツの2月の貿易収支、経常収支、英国の2月の貿易収支、アメリカの2月の卸売在庫、10日は中国の3月の貿易統計、フランスの2月の鉱工業生産、3月の消費者物価指数(CPI)、アメリカの3月の輸入物価指数、財政収支、11日は中国の3月の生産者物価指数(PPI)、消費者物価指数(CPI)、アメリカの3月の卸売物価、4月のミシガン大学消費者信頼感指数速報値が、それぞれ発表される。
7日から有権者人口約8億人の世界最大の議会制民主主義国インドで総選挙が始まり、5月12日まで9回に分けて実施される。9~10日に英国の中央銀行、イングランド銀行の金融政策委員会が開かれ、10日に政策金利を発表する。9日に3月18~19日に開催されたFOMCの議事録が公表される。この日はインドネシアが総選挙の投票日で、北朝鮮で国会にあたる最高人民会議が開かれる。10~11日はワシントンDCでG20財務相・中央銀行総裁会議が開かれる。11~13日には同じワシントンDCで世界銀行・IMFの春季会合が開かれる。
アメリカ主要企業の決算発表は、8日はアルコア、11日はJPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴが、1~3月の四半期決算を発表する予定。
前週、日経平均が15000円を突破した日本株はリスクオンしたかのように見えて、実はしていない。海外の機関投資家など3月にさんざん日本株を売っていた勢力が「売り方やめ」でおとなしくなったから一見、リスクオンしたかのように見えるだけである。
その証拠が、4日に売買代金今年最少を記録した薄商いだ。リスクオンして日本株に新規資金がドッと流れ込んできたのなら、1.5兆円少々の水準でおさまるはずがない。たとえば昨年4月4日の日銀の異次元緩和発表前日の3日は売買高31億株、売買代金2.3兆円だったが、発表翌日の5日の売買高は64億株、売買代金は4.8兆円と、それぞれ2倍を超える急増をみせている。それがリスクオンというものだ。株価と反比例して売買が細まっていった前週は「売り方やめ」で買い方が残るという需給の変化によって平均株価の上昇がみられただけの話。リスクオンでもリスクオフでもない状態だった。そうやって商いを伴わずに上昇した株価は、海岸に築いた砂の城のようにもろい。潮が満ちてきたら波をかぶって、ただ消え去るのみである。
しかも、上昇の要因が良くない。外部要因は確かに、ウクライナや中国からバッドニュースが出ず、イエレン発言などでアメリカの株価が再び史上最高値圏まで上昇し、為替レートも円安方向に振れていたが、国内に目を向けると反動減の不安を抱えつつ消費税が5%から8%にアップし、1日に発表された日銀短観の中身、特に先行判断指数は決して明るいものではなかった。国内にポジティブな材料が見当たらない中で週後半の日経平均が15000円超えまで上昇したのは、今週7~8日の日銀の金融政策決定会合で追加緩和策が打ち出されると見込んで先回り買いする「イベントドリブン」のおかげと解説されている。