内臓脂肪は、その過剰な蓄積が糖尿病や心臓疾患などにつながる可能性が指摘され、注目を集めている健康指標である。メタボリックシンドロームは別名「内臓脂肪症候群」ともいわれ、2008年から始まった国の取り組みである特定健診・保健指導で内臓脂肪の間接的指標として腹囲の測定が導入されるなど、社会的な関心が高まっている。
一方、からだの中にある内臓脂肪蓄積の直接的な把握がむずかしいことや、内臓脂肪の蓄積と生活習慣の関係についての知見が少なかったため、一般的な体重維持・減量のための生活改善を行なっているのが現状だ。
今回花王<4452>は7日、「内臓脂肪に着目した健康支援サービス」事業を4月から開始すると発表した。これは、ライフスタイルの改善を通じた健康の維持・増進を目的としたもので、内臓脂肪の蓄積度と生活習慣の「測って見える化」、一人ひとりに合った「内臓脂肪がたまりにくいライフスタイルの提案」の2つのサービスで構成されている。
内臓脂肪の蓄積度と生活習慣の「測って見える化」サービスでは、大阪大学、パナソニック<6752>と共同研究・開発した「内臓脂肪計」を用いる。そして、独自のライフスタイル提案プログラム「内臓脂肪ラボ『ナイボ』」を新たに開発した。企業の職場などにおける健康増進施策の一環として提供する。
生活習慣は、食事の量、質、時間、日常身体活動、運動の5つのカテゴリーに関する質問票にタブレットコンピュータを用いて答えてもらうことで客観的に把握する。統計的な解析によって「内臓脂肪をどのくらいためやすい生活をしているか」などを算出して示すことができる。内臓脂肪蓄積度から「お腹の断面イメージ」を作成、生活習慣の解析結果とともに印刷してその場で手渡しし、健康的なライフスタイルへ向かう動機づけを行う。
また、今回開発した内臓脂肪に着目したライフスタイル提案プログラム「内臓脂肪ラボ『ナイボ』」は、「測って見える化」サービスで得られたデータについて、ウェブサイト上で、測定結果に関する詳細な説明やライフスタイル改善のアドバイスを提供する。
一人ひとりの食事の量、質、時間、日常身体活動、運動の5つのカテゴリーの生活習慣の中で、何がどれだけ内臓脂肪蓄積の要因となりうるかを統計的手法によって解析。それを「生活ナイボ値」という数値にして提示する。
「生活ナイボ値」は値が大きいほど内臓脂肪をためやすい生活習慣であることを示し、利用者は自分の「生活ナイボ値」を減らすことを指標にして、ライフスタイル改善の提案を受けることができる。
花王では、産業医、保健師などと連携し、企業の職場等における健康増進施策の一環として提供する。(編集担当:慶尾六郎)