ゲーム業界は以前よりアミューズメント系の衰退が著しく、ゲームセンターの店舗数がここ20年足らずのうちにおよそ四分の一にまで減少している。それに加え近年では家庭用ゲームを開発していたメーカーの業績不振も目立ち始めている。
カプコン<9697>が平成26年度3月期の連結決算で約50億円の特別損失を計上すると発表し、純利益の予想額も68億円から33億円と大幅に下方修正した。特別損失の内容は新作ゲームの一部開発を中止したために開発資金の回収が出来なくなったことによるものだが、問題は新作ゲームの開発を断念せざる得ない状況まで追い込まれているという現実だろう。
アミューズメント部門(ゲームセンター)が縮小の一途をたどってきたのは家庭用ゲーム機のシェア拡大によるところも大きいわけだが、今度はその家庭用ゲーム機のシェアを携帯ゲーム機やスマートフォン向けゲームアプリに奪われていると言われている。ユーザーにとっては携帯ゲームやスマホ向けゲームアプリは家庭用ゲーム機よりも身近でとっつきやすいものではある。そして開発する側からも設備投資や開発費用が少なくて済むお手軽なものなのだ。それによって後発の企業や個人が参入してカプコンや、他の既存メーカーが苦戦を強いられているのがここ数年の流れといえるだろう。今回のカプコンの報道はそれを象徴するような内容である。しかし、通常は新規参入や開発競争が進めばその業界は活性化しパイは拡大するものだが、ゲーム業界に関してそれは芳しくない。スマホ用ゲームアプリが課金システムなどにより一時期大きく売り上げを伸ばしたものの、企業倫理の問題などで伸び悩んでいる現状では先は見えているという意見もある。しかし本当の問題は課金システムがあまりにも目先の集金システムになってしまい、簡単にお金にならないソフト開発がおろそかになっていることではないだろうか。
カプコンはじめ既存のソフト開発メーカーがその開発力を新興のゲームアプリ制作に削がれてしまっているのだとすれば、これはすでにゲーム業界の構造的な問題だと言わざるを得ないだろう。(編集担当:久保田雄城)