水産庁などが東日本大震災被災地の福島、岩手、宮城3県の水産加工業者について生産能力や売上の回復状況調査を行った結果、生産能力の回復に比べ、売上回復の遅れとともに、3年の経過の中で風評被害が払拭されても、なお販路の確保など課題が重くなりつつあることが浮き彫りになった。
調査は2月28日から3月12日までの間に3県の全国水産加工業協同組合連合会所属組合員、673企業から回答を求めたもので、34%にあたる231企業から回答を得た。
それによると、被災前の8割以上の生産能力回復業者は岩手県で57%、宮城県で49%、福島県で24%だったのに対し、8割以上売上回復業者は岩手県で44%、宮城県で36%、福島県では1割だった。特に福島県では東電福島第一原発事故による風評被害の深刻さをうかがわせる結果になっていた。
復興での問題点では「販路確保・風評被害」、「人材確保」、「原材料確保」。特に3県とも約3割の業者が「販路確保・風評被害」を課題にあげた。福島県では36%にのぼっていた。
販路開拓に関するヒアリングでは「放射能の風評被害の影響もあって復活しても当社商品に切り替わらない。風評被害が解消されたとしても震災前と同じ販路の復活はこの3年で厳しいことがわかった」との声や「風評被害の影響もあるが、休業期間が長期に渡った為に商品の消費動向の変化に対する対応についていけない現状がある」との声があった。
一方、「震災により、主商品の落ち込みが激しい中、展示会で出会った異業種の業者とのコラボレーションで開発した新商品にて新規取引先が増え売上に繋がっている」との成功事例もあがっていた。支援には成功事例を被災事業者に多く提供していくなどが有効といえよう。(編集担当:森高龍二)