【今週の展望】3月期決算の通期業績予想で笑うか、泣くか

2014年04月20日 20:06

 今週の新規IPOは23日にあの大物の10年ぶりの事実上の再上場も含めて3銘柄ある。その後は5月下旬まで予定がない。西武HD<9024>が東証1部に直接、新規上場する。本社は埼玉県所沢市。傘下に2004年12月に有価証券報告書の虚偽記載で上場廃止になった西武鉄道、旧・コクドを吸収合併したプリンスホテル、伊豆箱根鉄道、近江鉄道、西武プロパティーズ(旧・西武商事、西武不動産)など。公開価格は仮条件下限の1600円。フィクスターズ<3687>が東証マザーズに新規上場。東京が本社でマルチコアプロセッサ関連事業を手がけるハイテク関連企業。公開価格は3450円。白鳩<3192>がジャスダックに新規上場。インナーウェアのネット通販を手がける。京都市が本社だがワコールHD<3591>との資本関係はなく、それも含めて国内大手メーカーの製品は全て販売している。公開価格は520円。

 なお、22日にはコロプラ<3668>が東証1部に市場変更になる。個人投資家に人気のゲーム関連銘柄なので、「○○が何百万ダウンロード達成!」といった発表があるたびに値上がり率ランキングにお目見えしそうだ。

 海外の経済指標は23日に発表される中国のHSBC・PMIが要警戒。21日はアメリカの3月のシカゴ連銀全米活動指数、CB景気先行総合指数、北米半導体製造装置BBレシオ、22日はアメリカの2月のFHFA住宅価格指数、3月の中古住宅販売件数、ユーロ圏の4月の消費者信頼感指数速報値、23日は中国の4月のHSBC製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値、フランス、ドイツ、ユーロ圏の4月の製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値、アメリカの3月の新築住宅販売件数、24日はドイツの4月のIFO景況感指数、アメリカの3月の耐久財受注、4月のカンザスシティ連銀製造業活動指数、25日は英国の3月の小売売上高、アメリカの4月のマークイット製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値、4月のミシガン大学消費者信頼感指数確報値が、それぞれ発表される。

 アメリカ主要企業の1~3月期の決算発表は今週、ピークを迎える。22日はユナイテッド・テクノロジーズ、マクドナルド、AT&T、VMウェア、トラベラーズ、インテューイティブ・サージカル、ヤム・ブランズ、23日はダウ・ケミカル、ボーイング、アップル、フェイスブック、クアルコム、P&G、テキサス・インスツルメンツ、24日はフリーポート・マクモラン、D.R.ホートン、パルト・グループ、UPS、キャタピラー、アンダーアーマー、ベライゾン、VISA、ニューモント・マイニング、スターバックス、3M、マイクロソフト、ニューコア、GM、アマゾンドットコム、25日はフォード、VFが決算発表を行う予定になっている。

 前週の日経平均は前々週の1103円安の半値戻しを果たした。しかしその中身は「大復活祭」と呼ぶにはいささかお寒いものだった。特に商いは18日、イースターホリデーで海外勢がお休みだったために今年最低を記録してしまい、売買代金はアベノミクス相場の初期以来1年4ヵ月ぶりの少なさで、前週は一度も2兆円を超えられなかった。

 売買のエネルギーが低下した要因は、今さら言うまでもなく消費増税後の景気がどうなるのか投資家が判断しかねていること。経済予測のプロである民間エコノミスト42人に聞いた「ESPフォーキャスト調査」(日本経済研究センター)の最新調査結果が10日に出ているが、それによると4~6月期の実質GDP成長率はマイナス4.0%で、7~9月はプラス2.3%に回復する見通し。日銀の次の追加緩和実施時期の予測を聞くと、最も多かったのが「7月頃」の17人で、その次は「6月頃」の7人だった。7月が最多なのは6月末までに4~5月分の経済指標がだいたい出揃い、2ヵ月分のデータと7月1日発表の日銀短観をもとに日銀は消費増税後の経済情勢を判断して追加緩和の実施を決定できるとみているのだろう。あえて裏読みすれば、エコノミストの4~6月のマイナス成長予測は、「日銀はすぐには追加緩和の手を打てないから致し方ない」と解釈することもできそうだ。

 エコノミストが「4~6月はマイナス成長やむなし」とみている状況なら、自分や他人の大事な資金を投資している投資家は調子に乗って株をバンバン買い上げるわけにはいかない。様子を見ながら底値を慎重に見きわめて少しずつ買い足すとか、成長性のあるテーマや銘柄をとりあえず買っておき「後で上がって悔しい思いをする」という機会損失を予防するぐらいが関の山だろう。

 前週、14日、15日に日経平均が13000円台に低迷するとトヨタ<7203>やソニー<6758>のような主力株に押し目狙いとみられる買いが入ったり、18日の超薄商いの中でも「格安スマホ」関連のテーマ買いが盛り上がったり、新興市場のバイオ、ゲーム、コンテンツ関連銘柄の売買がにぎわったりしたのは、そんなムードの反映と思われる。そのようにバリュー投資、グロース投資の両面で買いがそこそこ入って、「閑散に売りなし」で前週のTOPIXは15日から4日続伸した。