「バンバン買い上げる」のではなく、「安い時に買い足す」「とりあえず買っておく」という消極的な投資態度が消費増税後の特徴だとしたら、今週から本格化する主力銘柄の3月期決算ではどんな反応が出るだろうか。まず、終わった今年3月期の決算内容は例年以上に軽視される。「消費増税前の駆け込み需要が入っているから」という色眼鏡で見られるからで、それでも決算内容が悪いというのは、試験で先生にゲタをはかせてもらったのに赤点を取った高校生のようなもの。「しょうがない奴だ」と容赦ない売り浴びせの罰を受けるだろう。
そして、例年以上にセンシティブに見られるのが決算短信の表紙の一番下の2015年3月期の通期業績予想である。それも市場予測より悪ければ売られ、良ければ買われるという単純な反応ではない。市場予測を上回る強気な業績予想を出しても、「調子に乗りすぎ」「後で下方修正されたらかなわない」と、かえって敬遠されて株価が下がることもありうる。よほど強力な裏付けがなければ、むやみに強気な業績予想は警戒されるとみていい。それを考えると企業サイドでは「消費増税の影響が読めない」と言い訳して通期業績予想をあえて出さないという逃げの一手を打つのも、今年に限っては有効かもしれない。とにかく今年の決算発表シーズンは、通期業績予想をめぐり東京市場でいろいろな思惑が交錯し、さまざまな悲喜劇が起こると思われる。
そんなシーズンの入口で18日終値の日経平均のテクニカルポジションを確認しておくと、25日移動平均の14493円より上で、75日移動平均の14924円、200日移動平均の14637円よりも下。日足一目均衡表の雲は14766~15158円に横たわる。「半値戻しは全値戻し」という言葉があるが、薄商いのエネルギー不足の中で今週中の15000円突破は厳しい。移動平均線を下抜けすると、それまで下支えしてくれた味方が上昇を阻む敵に変貌し「五条大橋以前の弁慶」に戻るが、今週は15000円までの間に200日線、雲の下限、75日線と、弁慶が3人もいるからだ。前週と違って自律反発を期待できるポジションではないので、上昇しても200日線で抵抗を受け、雲の下限の14766円あたりまで到達できれば上々の出来と思われる。逆に下限のほうは頑強に抵抗していた25日線の14493円が今度は下値支持のサポート役になり、14500円から遠くまで押し戻されることはないだろう。
為替はドル円が102円台で安定し、アメリカの株価は回復し、ウクライナ情勢にも光明がさしてきた今週、一番怖いリスク要因は中国のHSBC・PMIだろう。これが大幅に下落すると日経平均は14200円近辺まで突き落とされ、東京市場は再び煮え湯を飲まされることになる。中国からどんな魔物が飛び出すか予想がつかないが、それがなければ今週、日経平均は底堅く大きく下落するでもなく、かといって大きく上昇するでもなく推移し、ゴールデンウィークを迎えられそうだ。
ということで、今週の日経平均終値の変動レンジは14450~14750円とみる。個人投資家の大人気銘柄のゲームにたとえれば、行く手を阻む3人の「ベンケー」を全て降参させて前々週の全値戻しステージをクリアし、スコアをまた15000円に乗せるには、ミドルクラス以上の好材料の武器を手に入れて売買エネルギー値を上昇させる必要がある。(編集担当:寺尾淳)