メガバンクはみずほ<8411>こそ値動きなしだったが三菱UFJ<8306>は12円高、三井住友FG<8316>は27円高。4円高の野村HD<8604>など証券株も値を戻していた。ノンバンクのアイフル<8515>は8円高で売買高2位、売買代金7位と再びランキング上位の常連化。トヨタ<7203>は8円安、富士重工<7270>は33円安だったがマツダ<7261>は2円高、ホンダ<7267>は38円高と自動車大手は高安まちまち。ブリヂストン<5108>の1~3月期は営業利益が4年連続過去最高で16円高だった。
監査法人とのあつれきが報じられる売買高10位の東芝<6502>は1円安でも年初来安値を更新したが、同9位の富士通<6701>は21円高と大幅続伸し年初来高値を更新。ATMのOKI<6703>は3月期の純利益が前期比2倍の270億円になり7円高だった。
ソニー<6758>は前日、パソコン事業撤退に伴うリストラ費用負担などを理由に3月期の営業利益を800億円から260億円に、最終赤字幅を1100億円から1300億円に下方修正し、市場予測値から遠く離れるばかり。半年間で3回目の下方修正とは穏やかでなく大幅安で「負の主役」になるかと思いきや、売買代金2位と商いが活発で序盤82円安まで売り込まれたものの、その後は持ち直し終値は10円安。終わった期の話はもう水に流して、ということか? このソニーと、3月期の通期見通しを3回上方修正しても株価がなかなか上昇せずくすぶっているトヨタは、ちょうどネガ・ポジの関係になっている。
いつもは地味だがこの日は脚光を浴びたのが池上通信機<6771>。3月期の営業利益が72.6%増の7.7億円の見通しと発表した。従来は10.3%減の減益見通しだったためサプライズで、7円高で値上がり率6位に入った。ローム<6963>は前日発表した決算で3月期の最終損益が黒字転換したが今期は最終減益の見通しで、営業利益は7.9%増の255億円でも市場予測の316億円に届かなかった。そのため発表直後は下落したがこの日は前場に上昇を続け売買代金9位、505円高で値上がり率1位に入るミステリー。円安差益が望めなくても本業好調を評価されたという見方や、前日のセイコーエプソン<6724>や村田製作所<6981>のように、市場予測を絶対視する風潮に見直しの動きが出てきたという見方などが交錯していた。
日経新聞に、消費増税後の4月も小売店の売上状況は想定より健闘をみせたという記事が載った。三越伊勢丹HD<3099>は4月の売上高が7.9%減でも26円高。銀座三越はプラスだった。ファーストリテイリング<9983>は大引け後に4月の国内ユニクロ既存店売上高を発表したが、3.3%増で3月の0.6%増より良かった。
ネット・ゲーム関連では、GMOインターネット<9449>は第1四半期決算は営業減益でも、熊谷正寿社長が「投資の回収ができないわけがない」と強気のコメントを出し83円高で値上がり率3位。言った者勝ち。コロプラ<3668>が175円安で値下がり率1位と大幅続落したのは中間期の営業利益見通しが市場予測を下回ったため。注目業種、注目銘柄なので許してもらえない。新興市場のロボット関連はこの日も快調。サイバーダイン<7779>は「ロボットスーツHAL」がエジソン賞「金賞」を受賞したと発表し400円高。日本企業では初の名誉になる。
この日の主役は、最近は証券や海運とともに低迷していたが一転、業種別騰落率1位になった不動産関連。大手3社は住友不動産<8830>が79円高で3日続伸、三菱地所<8802>が60円高、三井不動産<8801>が48円高。ケネディクス<4321>は10円高だった。大手の決算発表は8~13日でまだ先だが、思いもよらずIHI<7013>からボールが飛んできて火がついた。ソニーの物言う株主として名をあげたサードポイントがIHI株を保有したと顧客向けニュースレターで明らかにし、東京都江東区豊洲の土地の有効活用を求めると書かれていたという。そのためIHI株は東京ベイエリア不動産含み資産関連銘柄として売買高6位と買いを集め、22円高で値上がり率14位に。同じエリアの含み資産関連の東京都競馬<9672>は17円高で値上がり率10位に入り、川崎競馬場を所有するよみうりランド<9671>は9円高。東京ベイエリアがらみのテーマ物色は、東京五輪開催までこの先6年間、続きそうだ。(編集担当:寺尾淳)