略すと社名を取り違えやすいステンレスの日新製鋼<5413>と原発関連の日本製鋼所<5631>は、前日発表の3月期業績が正反対で好対照。日新製鋼は最終利益が177億円の黒字で149円高で値上がり率1位になったが、日本製鋼所は最終利益が33%減の55億円で33円安で年初来安値を更新し値下がり率5位。日清食品HD<2897>は11時に決算を発表すると急落し185円安で値下がり率13位。小麦など原材料価格の高騰で今期の営業利益が6.2%減という見通しが嫌気された。日本ゼオン<4205>が後場発表した決算は営業利益が16%減の250億円で、直後に急落し74円安で年初来安値を更新し値下がり率3位。JBR<2453>は監査法人による「疑念あり」ショックがおさまらず57円安でこの日も値下がり率1位だった。
三井物産<8031>は前日は値動きなしで終えたが、この日は売買代金6位と買い直され53円高。前日に決算と同時に発表された中期経営計画に配当性向を25%から30%に引き上げるなど株主還元策が盛り込まれたのを見直された。三菱商事<8058>は1時に3月期の営業利益48%増の決算、今期の2円増配、7年ぶりの4000万株上限の自社株買いを発表した。株価は一段高になり終値は119円高で値上がり率7位に入り、売買高12位、売買代金2位と買われた。三菱商事系食品商社の三菱食品<7451>も162円高で値上がり率5位に入り、卸売セクターは業種別騰落率トップだった。
日本製がアジアで人気の紙おむつ用の高吸水性樹脂で知られる日本触媒<4114>は2時すぎに決算を発表し、今期営業利益89%増という強気の業績見通しが好感され37円高。ALSOK<2331>は1時に決算発表を行い、今期の営業利益見通し47%増が市場予測を上回り、増配予想も評価され130円高で年初来高値を更新し値上がり率11位。ケーズHD<8282>は2時に決算発表。営業利益は3月期は43%増だが今期は4.9%増の248億円とペースダウン。それでもマイナスではないのが評価され77円高だった。ドンキホーテHD<7532>は前日に第3四半期決算を発表し6月期の業績見通しの純利益を上方修正。三菱UFJ証券が目標株価を引き上げ170円高になった。駆け込み需要で営業利益の進捗率は85%に達している。サイバーリンクス<3683>は消費増税がらみの特需があり1~6月期の営業利益見通しを6100万円から2億8000万円に大幅上方修正し700円高。通期見通しは据え置いた。
この日の主役は悪いほうで目立った任天堂<7974>で75円安で年初来安値を更新。前日の決算では、3月期は売上高は5717億円で10.0%減、営業損益は464億円の赤字、経常利益は41.9%減、最終損益は232億円の赤字。今期は売上高5900億円、営業利益400億円、経常利益350億円、当期純利益200億円で、増収増益を見込む。昨年4月25日の決算説明会で岩田聡社長は「『Wii U』は1000万台売れる。営業損益は1000億円の黒字になる」と大見得を切ったが、結局、売れたのは272万台で、営業損益は途中で350億円の赤字に下方修正したが、それをも下回って464億円の3期連続赤字では言い訳はできない。任天堂については「約9000億円の現金を持つキャッシュリッチ企業」「ゲームづくりは間違っていない」など期待の声は小さくないが、こんなに毎期、期待を裏切られるとさすがに仏の顔も三度まで。今期営業損益は400億円の黒字見込みで市場予測の290億円の黒字を上回ってはいるが、他の銘柄と違って株価が無残に下落したのは、発表数字がろくに信用されていない証拠だろう。(編集担当:寺尾淳)