クールジャパン。日本の新たな産業政策であり、アベノミクスの柱ともされている。このイメージ戦略、というかブランド戦略は、外国人が日本のポップ音楽、ファッション、アニメ、料理などの商品を購入することを期待した活動である。経済産業省は海外で「アニメやマンガに加え、食文化、宅配便、旅館、伝統工芸品など、人気の高い日本の商品・サービス・クリエイティブ産業が多数存在」すると認識している。そのわりには「必ずしも稼げていない」との問題意識のもと、戦略的に海外展開を行い、新たな収益源・雇用の確保や地域経済活性化につなげるものだ。
昨年11月にはクールジャパン機構が設立された。正式名称は海外需要開拓支援機構である。この株式会社は海外需要開拓支援機構法という法律を作り、設立された。株主として、アサツー ディ・ケイ<9747>、ANAホールディングス<9202>、エイチ・ツー・オー リテイリング<8242>、商工組合中央金庫、大日本印刷<7912>、太陽生命保険<8795>、大和証券グループ本社<8601>、髙島屋<8233>、電通<4324>、凸版印刷<7911>、博報堂DYグループ<2433>、パソナグループ<2168>、バンダイナムコホールディングス<7832>、みずほ銀行<8411>、三井住友信託銀行<8309>、三越伊勢丹ホールディングス<3099>、LIXILグループ<5938>、そして日本政府が出資している(日本政府は13年度で特別会計から500億円を出資している)。組織の存在意義は「クールジャパン的な課題は、クールジャパン機構に相談すれば動く」と認知させることだそうだ。
そして、このクールジャパン機構が先月、第1弾となる投資案件で基本合意したと発表した。日本のテレビ番組の海外への販売事業や、エイチ・ツー・オーリテイリングの商業施設などへの投資を検討するとのこと。前者については、スカパーJSAT<9412>と共同で、日本のコンテンツを現地語で24時間365日放送するチャンネルを梃子に日本のコンテンツを発信するとともに、周辺の関連商品・サービス販売する事業の立上げを考えるとしている。
東京工芸大学が実施したクールジャパンに関する意識調査で、クールジャパンとして世界に紹介したい日本文化の1位は日本食、2位がアニメーション、3位がマンガ、4位が工芸品(日本刀、和紙、陶磁器)、5位が伝統芸能(歌舞伎、落語、茶道など)、6位が日本らしい風景、7位がゲーム、8位がなんと意外にも絵画(水墨画、浮世絵、日本画など)となった。
こうした期待を受けて、コンテンツを官民一体となって日本のコンテンツや製品を広めていってもらいたい。しかし、この調査で「日本のクリエイティブ産業を育てていくために、どんな“仕組みづくり”が必要だと思うか?」との設問に対して、「もっと国をあげて取り組む」という選択肢に33.3%しか「必要」と回答しなかった現実もお忘れなく。(編集担当:久保田雄城)