超軽量の太陽光パネル事業に進出と報じられた旭硝子<5201>は1円高。日産化学工業<4021>は40円安で値下がり率9位。この日、自動車や電機以上に活況を呈した業種がディフェンシブ系の医薬品大手で、アステラス製薬<4503>は24円高、武田薬品<4502>は73円高、中外製薬<4519>は33円高で年初来高値更新、エーザイ<4523>も23円高で年初来高値更新、大幸薬品<4574>は86円高、科研製薬<4521>は112円高で年初来高値を更新していた。
業種別騰落率2位の不動産セクターは、投資ファンドが東京駅八重洲南口の「パシフィックセンチュリープレイス丸の内」を1800億円超の価格で売りに出すニュースが起爆剤になった。すぐ買い手がつくとみられている。丸の内といえば誰もが連想する三菱地所<8802>は73円高、日本橋で事業展開中の三井不動産<8801>は56円高、住友不動産<8830>は17円高。NTT都市開発<8933>は55円高で値上がり率11位に入った。
半導体商社のM&Aのニュースがあり、マクニカ<7631>と富士エレクトロニクス<9883>が来年4月に経営統合。大きい方のマクニカは46円安、小さい方の富士エレクトロニクスは38円高。ローランド<7944>はMBO発表後の15日は値上がり率1位の人気で年初来高値をつけたが、創業者がMBOに反対し筆頭株主の財団も不同意とみられ雲行きが怪しくなり値動きなし。資生堂<4911>は三菱UFJ証券がレーティングを「弱気」に引き下げ38円安。毎コムネット<8908>は今期6円増配し21円配当とすると発表し28円高。前日急落したサンリオ<8136>は売買代金9位、29円高と買い戻された。
JR東海<9022>は45円高で年初来高値を更新し今週5日続伸。パイロット不足でLCC(格安航空会社)の欠航が相次ぎ、利用客が新幹線に流れるとみられている。そのLCCに出資するANAHD<9202>が売買高11位で3円安など空運セクターは軟調で業種別騰落率最下位。8月11日を新しい祝日「山の日」とする法案がこの日、可決・成立する見通しになり登山用品店のアルペン<3028>は8円高、ヒマラヤ<7514>は11円高、ゼビオ<8281>は28円高。昨年、富士山が世界遺産に指定された時に注目されていた富士急行<9010>は3円高だった。
東証マザーズ指数は3.64%の大幅高。前日に連騰がストップして出直しのミクシィ<2121>は930円高で年初来高値更新。東証1部売買代金ランキングトップのソフトバンクの644.3億円を軽くしのぐモンスターな売買代金797.4億円を記録した。
この日の主役は、前日大引け後に説明会を開いた東芝<6502>とソニー<6758>。東芝の経営方針説明会では2017年3月期の売上高は過去最高の7.5兆円、営業利益は4500億円という数字を掲げた。前期と比べると売上高は1兆円、営業利益は1600億円の上積みだが、田中久雄社長はそれを「必達目標(コミットメント)」と表現し自信をみせた。M&Aも含め今後3年間で1.5兆円を投資するといい、そのうち1000億円分は田中社長の裁量で即時執行可能の「社長枠」で、変化に即応する機動力を担保している。そんなアグレッシブな姿勢を評価されて売買高3位、売買代金8位と買いを集め、終値は3円高だった。
一方のソニーの経営戦略説明会では、エンタテインメント部門と金融部門で利益を稼ぎ出しながら、スマホ、ゲーム、イメージング(画像処理)を三本柱に今期中にエレクトロニクス部門の構造改革を終わらせて黒字化を遂げ、来期2016年3月期に営業利益4000億円を目指すと平井一夫社長が説明した。ソニーの経営戦略説明会はいつも、業績が期待を裏切っても何かサプライズがあり、「やっぱりソニーは違う」と見直されて翌日の株価が上昇することが結構あり、そのたびに「踏まれてもついて行きますゲタの雪」かと思わせた。しかし今回は、前期3回も下方修正したあげくの1284億円の最終赤字、今期も最初から最終赤字500億円という異例の見通しでは「本当に復活できるのか?」と疑われて、さすがに愛想が尽きた模様。売買代金7位でも終値は13円安になり、34円安のソフトバンクとともに朝から逆行安で目立っていた。(編集担当:寺尾淳)