4月の鉱工業生産指数、2ヶ月ぶりに低下

2014年06月02日 07:52

 もうゴールデンウィークも終わり、そろそろ日差しが夏の装いを見せ始めたこの頃になっても、まだ「消費税増税前の駆け込み需要に伴う反動減」という言葉を耳にすることがある。消費者はすでに新しい価格帯に慣れ始めた感もあるが、「消費税増税前の駆け込み需要に伴う反動減」がそれぞれの市場に与える影響の根は、思ったよりも深そうだ。

 30日、経済産業省が4月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)の速報値を発表。それによれば、前年比2.5%ダウンの99.6という結果であった。こうしてマイナスとなるのは2ヶ月ぶりのことで、また13年11月以来の低水準であった。消費税増税前の駆け込み需要に伴う反動減により、自動車や白物家電、また化粧品や洗剤、半導体といったものの生産が減少したことが影響したとみられる。

 業種別に見てみると、15業種のうち12業種がマイナスとなった。輸送用機械工業が前年比3.5%ダウン、電子部品・デバイス工業も前年比5.2%ダウンという結果であった。また消費税増税前の駆け込み需要が終了したことにより、出荷指数は前年比5.0%ダウンの98.0。その一方、駆け込み需要のために抱え込んでいた在庫の消化が進行し、在庫指数は前年比0.5%ダウンの105.2、在庫率指数は前年比1.8%ダウンの103.5という結果であった。

 こうした調査結果を受けて経済産業省は、12年9月以来、1年7ヶ月ぶりに基調判断を前月の「生産は持ち直しの動きで推移している」から「生産は横ばい傾向にある」と下方修正した。

 また同日に発表された製造工業生産予測によれば、5月は前の月と比べて1.7%アップし、6月は2.0%ダウンするとの予測を示している。

 前回消費税が増税された時(1997年4月)の鉱工業生産指数の落ち込みも、今回とほぼ同程度のものであった。しかし97年4月の在庫率指数は2.9%アップであったのに対して、今回は1.8%ダウンという結果から、在庫の消化については順調に推移しているといえる。

 こうした消費税増税前の駆け込み需要に伴う反動減の影響がいつまで続くかは分からないが、ひと頃と比べて回復の兆しの見える日本経済に対して水を差す結果とならないことを祈るばかりである。(編集担当:滝川幸平)