内閣府、「景気の谷」を2012年11月と暫定的に判定

2014年06月02日 09:57

 今ではそうした傾向に改善がみられるものの、一時期は「今は不景気だから」という言葉が挨拶代わりのように人々の間で交わされていた。そうして「今は不景気」ということが多くの人々の間で共通認識となるほどに、日本経済の前にはずっと暗雲が立ち込めていた。その「不景気」について、内閣府がある見解を示した。

 30日、内閣府は有識者でもって構成される景気動向指数研究会(座長・吉川洋東大教授)を開き、景気の後退局面から拡大局面への転換点を表す「景気の谷」を2012年11月と暫定的に判定した。これにより後退期間は7ヶ月間となり、それは1951年7月から10月までの4ヶ月間に次ぐ、戦後2番目の短さであった。

 そうして景気が後退局面に転換した理由として、ヨーロッパの債務危機により世界経済が悪化したことや、また円高が続き輸出がマイナスとなったことなどが挙げられている。そのほかにも海外経済の下ぶれによって国内生産が悪化したことなども要因として挙げられている。

 そのため、11年3月に発生した東日本大震災からの復興により、景気回復傾向にあった日本経済が急速に悪化したとの結論を示した。

 また景気が拡大局面に転換した理由としては、安倍晋三首相による「アベノミクス」効果により個人消費が増加したことなどを挙げている。そのため、後退期間はわずか7ヶ月で終了となった。景気動向指数研究会はそうした「アベノミクス」効果や個人消費の拡大により、景気は急速に回復しているとの見解を示している。

 しかし今回発表された「景気の谷」は暫定的なものであり、今後、季節調整や景気動向指数の改定作業を経た上で、「景気の山」と併せて確定される予定だ。そのため確定した段階で後退期間などは変化する可能性もあるとしている。

 こうした「景気は回復している」という話をこれまで幾度となく耳にし、そのたびに「本当なのか?」という懐疑を持ってしまっていたが、暫定的とはいえ「景気の谷」が判定されたことにより、そうした懐疑心も少しは薄らぎそうだ。あとはその「景気回復」が、国民の生活レベルで感じられるものになることを願うばかりだ。(編集担当:滝川幸平)