4月の景気動向指数、2ヶ月ぶりに悪化

2014年06月09日 06:59

 「景気は回復しつつある」「不景気に歯止めがかかった」最近ではそうした言葉を耳にすることも珍しくなくなったが、しかし今回内閣府が発表した景気動向指数をみると、そうした言葉を真に受けて楽観視するわけにはいかないことが分かる。内閣府は6日、4月の景気動向指数(2010年=100)の速報値を発表。それによると、景気の現状を示す一致指数が前月比3.4ポイントダウンの111.1であり、2ヶ月ぶりに悪化したことが分かった。今回の落ち込みの大きな原因は消費税増税前の駆け込み需要に伴う反動減であり、東日本大震災に起きた11年3月の6.7ポイントダウン以来の下げ幅となった。

 こうして一致指数が前月を下回るのは、2ヶ月ぶりのこととなる。4月に実施された消費税増税前の駆け込み需要に伴う反動減がその大きな原因とされており、化粧品や日用品、自動車など多くの品目で販売が低迷したほか、自動車部品や電子部品などの生産も減少したことが影響したとみられる。

 内訳を見てみると、商業販売額(小売業)や商業販売額(卸売業)、鉱工業生産財出荷指数、投資財出荷指数(除輸送機械)などがマイナス影響をもたらし、耐久消費財出荷指数のみがプラスとなった。
 
 今回の結果を受けて内閣府は、基調判断を前月の「改善を示している」から「足踏みを示している」に下方修正。基調判断を下方修正するのは12年10月以来、1年6ヶ月ぶりのこと。またこうして「足踏みを示している」との判断を下すのは、12年6月~8月以来のこととなる。数ヶ月先の景気動向を示す先行指数も前月より0.5ポイント下回り、3ヶ月連続でのマイナスとなった。中小企業の売り上げ見通しの悪化が影響した模様。内閣府では、先月5月の調査の中には改善した経済指標もあることから、今後の動向を注視したいとしている。

 今回の結果は消費税増税前の駆け込み需要に伴う反動減によるところが大きく、これがそのまま「不景気」を表しているわけではないのかもしれないが、しかし先行指数がマイナスとなっていることからも、まだまだ日本経済が予断を許さぬ状態であることを伺い知ることが出来る。(編集担当:滝川幸平)