ガソリン価格が8週連続上昇する中、政府が燃料電池車1台あたり200~300万円の購入補助金支給を検討という報道が午後伝わり、水素ステーションを運営する岩谷産業<8088>は後場急伸し53円高で値上がり率3位に入り、燃料商社のミツウロコGHD<8131>も47円高で年初来高値を更新し同4位と連れ高。それはまさに「政策に売りなし」を地でゆく出来事だった。
シャープ<6753>は日経平均が停滞した序盤から買いが入って売買高6位、売買代金16位。終値は11円高。前日に丸形などどんな形にもできる液晶「フリーフォーム・ディスプレイ」をお披露目。スピードメーターのような自動車用、ウエアラブル端末など幅広い用途が考えられる。中国のスマホメーカー13社と液晶供給で協議中とも報じられ、そうやって液晶の「アップル依存度」が低下すればリスクの分散で投資家の好感度も増す。他の電機大手も上昇し、ソニー<6758>は61円高、富士通<6702>は30円高で年初来高値更新、パナソニック<6752>は6円高、NEC<6701>は9円高、日立<6501>は24円高、東芝<6502>は10円高。セイコーエプソン<6724>はシティGの業績プレビューが好感され、290円高で年初来高値を更新し値上がり率6位に入っていた。
自動車向け電子部品が好調で25%増収と報じられたTDK<6762>は70円高で3日続伸。一方、安川電機はクレディスイスがレーティング、目標株価を引き下げ29円安。ロボット関連が人気でも、産業用ロボットはカヤの外か? 通信大手はNTT<9432>166円高、NTTドコモ<9437>23円高で揃って年初来高値更新。KDDI<9433>は16円高、ソフトバンクは180円高。アマゾンが自社製3Dスマホ「ファイヤーフォン」を199ドルで発売するというニュースがあったが、ほとんど影響していなかった。
日本板硝子<5202>は野村證券がレーティングを引き上げて売買高2位と買われ、21円高で値上がり率も2位。ガラス・土石は業種別3位に入った。建設セクターでは安藤ハザマ<1719>にいちよし経研が新規で最上位レーティングをつけ、42円高で年初来高値を更新し値上がり率5位。最近ふるわなかった不動産も海運も株価が反発して傷を癒し、不動産セクターは業種別5位。三井不動産<8801>は69円高、三菱地所<8802>は74円高、住友不動産<8830>は117円高、日本郵船<9101>は2円高、商船三井<9104>は8円高、川崎汽船<9107>は3円高だった。
情報システム開発の豆蔵HD<3756>はストップ高比例配分の80円高で年初来高値を更新し値上がり率1位。日本マイクロソフトと組み、動画などのコンテンツ配信を従来の10分の1の低コストでできるクラウドサービスを開始すると報じられた。
「主力銘柄の日」だったので、新興市場の人気銘柄はサイバーダイン<7779>が220円安、ミクシィ<2121>が700円安、日本マイクロニクス<6871>が440円安とさすがにブレーキがかかった。東証1部のロボット関連銘柄代表の川田テクノロジーズ<3443>も490円安と連れ安して9日ぶりに反落し値下がり率2位。日経ジャスダック平均は-0.10%と反落したものの、東証マザーズ指数は+0.46%で7日続伸している。
この日の主役は「電線地中化」。日経新聞朝刊に政府・自民党が電柱・電線の地中化を促す新法を制定する検討に入ったという記事が載り、関連銘柄が買われた。電線メーカーは昭和電線HD<5805>が6円高で値上がり率15位、古河電工<5801>が12円高で同19位、東京特殊電線<5807>が5円高。電気工事関連は関電工<1942>が22円高、きんでん<1944>が45円高、山加電業<1789>が35円高。日本ヒューム<5262>は47円高で値上がり率9位、ゼニス羽田<5289>は11円高だった。新法では都市部に電柱の新設を禁止するエリアを設けて、東京五輪を目標にヨーロッパの都市のような「絵になる街角」を増やしていくという。(編集担当:寺尾淳)