投資額4割削減、トヨタが小規模・低コストのエンジン生産ラインをグローバルに投入する

2014年06月23日 07:25

toyota_Engine

今年、トヨタが投入した新型省燃費エンジン。ヴィッツに搭載して燃費25.0km/リッターを達成する。グローバルではハイブリッドよりも有効な武器になる。こうしたユニットを投資額を減額した新設ラインで生産を目指す

 トヨタが低コストラインで構成する自動車エンジン工場を開発し2015年以降、順次稼働させるという。この背景には、設計改革「Toyota New Global Architecture(TNGA)」とサプライヤーをも含めた海外現地生産の進捗があるようだ。

 TNGAは部品の共通化などにより原価低減と商品力向上を図る設計改革だが、トヨタとしては同時に生産技術も改革し効率を高めていく考えのようだ。

 しかしながら、トヨタの言うTNGA思想に立脚して新型のエンジン生産を新しいラインで行なうには大きなリスクが伴う。そこで、今回発表した投資額4割減の新設生産ラインで従来型エンジンの生産を試験的に行ない、生産ラインの問題点などの精査を図ってから新型エンジン生産に切り替えていくという。

 投資額を4割削減した新ラインの投入は、当面月間生産台数9000台規模の小規模なラインで始める。それでも投資実額は4割減でも40億円程度となる。まずは、愛知県・豊田市の工場で新設。その後、みよし市の工場でも展開する予定だ。

 トヨタは冒頭で記したTNGAに準拠する新開発エンジンを2016年に市場投入したい考え。そのためにもコストを削減した小規模生産ラインの開発が急務なのだ。

 これまで、トヨタのエンジン生産ラインは月産1万8000台規模の大型ラインがメインだった。が、2008年のリーマンショック以降に投資額を半分の70億円程度に抑えたラインを設計・開発して対応してきた。しかし、「投資額半分で、生産量も半分なら、効率化の意味は無い」わけだ。そこで今回の生産ライン設計の見直しとなったようだ。

 新しいエンジン生産ラインは、ブラジルやインドネシア、タイなどの拠点でも展開し、北米などの工場でもライン切り替え時に順次導入を図り、現地生産車に対応するという。(編集担当:吉田恒)