2015年に10%の消費税増税が見込まれていることに合わせて、食料品などを対象にした軽減税率について政府内で議論が交わされている。軽減税率とは、基本となる消費税よりも低い税率を対象品目に合わせて設定することをいう。例えば食料品などに適用することで、所得の低い者の負担を減らすことができるという利点がある。
この軽減税率の対象品目について、新聞、書籍、雑誌を含めるよう緊急提言したのが、公益財団法人の「文字・活字文化推進機構」や、細田博之自民党幹事長代行が会長を務める「活字文化議員連盟」だ。共同通信の記事によると、細田氏は「軽減税率適用はコメやみそで検討されているが、新聞や雑誌、書籍も知的財産を形成する栄養物で同じ価値がある」と主張。日本新聞協会の白石興二郎会長も、新聞には「国民生活に必要な情報を届ける大きな役割がある」と発言した。食料品などに軽減税率を取り入れている国では、新聞や書籍なども対象としていることがあるようだ。出版物などに対する軽減税率はフランスや、イギリス、ドイツでも導入されており、ヨーロッパでは既に一般的らしい。
最近、「小悪魔ageha」「egg」のギャル系ファッション雑誌の廃刊が話題となったばかりだ。他のファッション誌の売り上げも軒並み低下しており、全体的にも雑誌購読者数は減少しているといわれている。今の若者は、「ファッションスナップ」などのアプリを用いて、インターネットで無料の情報を手に入れているらしい。そのため、雑誌については、書店での立ち読みで十分だという人も少なくないようだ。
新聞や情報雑誌についても、利用者はインターネットに移行する傾向が続いており、購買数は年々落ちている。アメリカでも新聞社の経営難は深刻だ。08年にはトリビューン社が破産手続きをとり、09年にはフィラデルフィア・インクアイアラーズ社も同様の申請を行うことになった。また、同年にはロッキー・マウンテン・ニュースが廃刊、サンタイムズ・メディア社も破産申請することとなり、ついに13年には、新聞大手のワシントン・ポスト紙までもが、アマゾン・ドット・コムのベゾス氏に売却されるという事態に至った。日本国内でも、札幌タイムス、唐津新聞、岡山日日新聞、信州日報など、地方紙を中心に全国各地で新聞の廃刊が目立っており、危機感は強い。軽減税率導入は、購読者減の歯止めとなるだろうか。(編集担当:久保田雄城)