保険外診療の漢方薬代 月平均15000円超 8割が「知らない」

2014年06月23日 12:22

 日本政府の新成長戦略に混合診療が明記される動きがあるが、混合診療あるいは自由診療に対する一般の認知度は果たしてどの程度あるのだろうか。漢方薬に絞った調査結果では、保険外診療の場合の月平均漢方薬代が15000円を超える実態を、8割が「知らない」と回答。6割の人が5000円~15000円くらいではないかとの認識を持っており、自由診療の際の費用実態と一般の認識が大きく乖離していることがわかった。

 漢方・薬膳の総合ポータルサイトを展開する漢方デスクが、行ったクリニックにおける漢方の保険診療利用に対する意識・認知調査によるもの。インターネットで1929人を対象に実施した。

 「クリニックで保険が効く場合、漢方薬代は1ヶ月平均いくらぐらいになると思いますか?」(N=1,832)という設問では、「1000~3000円」が938人(51.2%)と半数を占め、次いで、「3000~5000円」704人(38.4%)、「5000~10000円」156人(8.5%)、「10000~15000円」18人(1.0%)、「15000円以上」16人(0.9%)の順となっていた。実際はどうかというと、保険適用の場合の漢方薬代は1ヶ月平均1000~3000円であるため、多くの利用者の感覚とずれていないことが分かる。

 これに対して「クリニックで保険が効かない場合、漢方薬代は1ヶ月平均いくらぐらいになると思いますか?」(N=1,821)という設問では、「10000~15000円」が最多の593人(32.6%)、ほぼ同じくらい多かったのが、「5000~10000円」587人(32.2%)で、「5000~15000円」の間とする回答が全体の6割を超えた。保険がきかない場合は保険診療よりも薬代などがかなり高額になる、という認識は多くの人が持っているようだ。
 
 ところが実際は、漢方デスクによれば、保険外診療の場合の漢方薬代は平均して1か月15000円を超えるという。調査では、保険外診療では漢方薬代が15000円以上になることを83.8%が「知らなかった」と回答。実際の費用と利用者の感覚とでのかい離が大きいことがわかった。

 その他の回答では「1000~3000円」111人(6.1%)、「3000~5000円」235人(12.9%)、「15000円以上」295人(16.2%)であった。

 ちなみに「クリニックで処方されて漢方薬をもらったことはありますか?」(N=1,929)という設問に対し、41.8%の人が「はい」と回答。漢方薬も西洋医薬と同様、保険適用となる処方薬が存在するため、通常のクリニックでも漢方薬を保険診療として処方を受けることは可能だ。

 一方で、日本漢方生薬製剤協会の2011年の調査によると、漢方薬を現在使用している医師は全体の89.0%にものぼるが、使用実態と患者の認識との間に乖離が見られた。このことからも実際には漢方薬を処方されながらも、それと意識せず服用している患者が多いこともうかがえた。(編集担当:横井楓)