ここ2~3年、ネット界隈を中心によく耳にする単語「キュレーション」。メディアに溢れる無数の情報から、目的や意図に沿うものを取り出して分かりやすくまとめ、他人と共有することを指す。2011年、ジャーナリストの佐々木俊尚氏が『キュレーションの時代』(筑摩書房)で提唱して以来、徐々に認知度が高まってきた。佐々木氏は同著で、今や誰もが自ら情報を選んで意味づけし、SNSなどを通して他人と共有する「一億総キュレーション」の時代になると述べている。
ブログやメルマガで最新ニュースを解説する著名人などは「キュレーター」といえるが、個人がキュレーターとなって情報をまとめる「NAVERまとめ」もすでに定着している。最近ではこうした「キュレーション需要」に目をつけ、ニュースを独自のアルゴリズムでまとめて読者に届けるサービスも登場してきた。テレビCMが話題になった「Gunosy」に加え、「Smart News」、「NewsPicks」などのサービスは、広告や課金収入で運営されている。他にも「Origami」や「HATCH」などEC(電子商取引)の手数料・物品販売収入で運営するECサービス、キュレーションサービス機能を提供するプラットフォーム構築や、サービス展開のためのコンサルティングで収入を得る事業者も登場している。
矢野経済研究所によると、こうした「キュレーションサービス」の市場規模は13年度で91億円(見込み)とまだ小さい。だが今後はスマホの普及などに比例して、年率平均45.7%と高い比率で伸びていくと予測されている。3年後には現在の4倍以上、395億円(事業者売上高ベース)まで拡大するというから、その成長性が伺える。
キュレーションサービスは、「少ない投資で大きなアクセス数を稼げる」新たなビジネスだ。広告収入で運営する情報系キュレーションサービスでは、埋もれていた情報を掘り起こし、メディア業界のプラットフォームとして活用されていく可能性もある。各社は現在、収益化の方法とビジネスの持続可能性を模索しているところだろう。(編集担当:北条かや)