7月23日(水)から3日間、東京都江東区の東京ビッグサイトで「TECHNO-FRONTIER 2014」が開催される。同展示会は、主に開発設計や生産技術者らエンジニア向けに開催されるもので、約500社が出展し、メカトロニクス・エレクトロニクスを構成する要素技術が一堂に集まる一大イベントで、毎年約3万人が来場する。
毎年、業界の動向やニーズに合わせた展示テーマが魅力となっているが、2014年の展示テーマは、「ワイヤレス給電・ネットワーク」、「トップランナーモータ」、「特殊環境向け部品」、「小型軽量化のための高機能材料・加工技術」、「エネルギー・ハーベスティング」となっている。
新たな用途開発や実用化に向けた製品・技術が分かるだけでなく、同イベントは日本で唯一、最新の技術動向が学べる技術シンポジウムが同時開催されることでも知られており、これが人気の理由の一つでもあるようだ。
そもそも、半導体やデバイスなどの最新技術は専門家であっても難しいもので、日進月歩で技術が進化し続けている今、国内外の技術動向に常にアンテナを張り巡らせていないとすぐについていけなくなる。技術の進化速度に合わせて、電子機器の開発期間はますます早くなっている。専門分野に留まらず、周辺の技術にも常に関心をもって学んでおくことも必要だ。こうした中、エンジニア向けのセミナーが人気を集めている。
エンジニア向けセミナーは、最新の技術もしくは技術の基礎を学びたいユーザーと自社の技術や製品を広めたいメーカー間でWin-Winの関係が成り立つため、無償で行われることが多い。
ところが、これまで日本国内で開催されてきたエレクトロニクス系のエンジニア向けセミナーは、アナログ・デバイセズ、テキサスインスツルメンツ、リニアテクノロジーなどの外資系企業によるものが大半で、日本企業はこの分野では立ち遅れているのが現状だ。最新技術に理解を深めるのはもちろんのこと、技術者の育成やモチベーション向上などの意味でも、日系企業のセミナー開催が渇望されている。
そんな中、日系企業では半導体のローム株式会社が、ほぼ月一回ペースで技術者向けのセミナーを実施しているほか、「Tech Web」という特設サイトを開設するなど、取り組みを強化している。セミナーは、これまでに全7回開催されたが、延べ800人の参加があり、約80%以上の参加者が講義内容を「大変良い」「良い」と回答している。とくに、無償セミナーとは思えない資料の充実や、ロームだけでなく他社タイアップして参加していることなどの評価が高く、セミナー参加希望者も回を重ねるごとに増えているという。
セミナーといえば、自己啓発や、採用業界、出版業界、技術系ではプログラミング・ソフトウェア業界などで盛んに行われているが、今後はエレクトロニクス系の技術者向けのセミナーも盛んになってくるのではないだろうか。日本人の身上である切磋琢磨の精神で、技術大国の復活を期待したいものだ。(編集担当:藤原伊織)