徴兵制は有事下でも憲法違反 内閣法制局長官

2014年07月16日 10:11

 徴兵制についての問題が15日の参院予算員会で取り上げられた。社会民主党の吉田忠智党首は「政府は一貫して、憲法18条の意に反する苦役にあたるので、徴兵制は認められないとし、総理も全く考えていないと言われている。我が党も徴兵制は絶対あってはならないと思っている」としたうえで「安倍内閣は従来、憲法上、許されないとされてきた集団的自衛権を可能であると解釈変更した。法制局長官に伺いたい。将来、徴兵制が意に反する苦役にあたらないとの憲法解釈の見直し、解釈変更の閣議決定があれば徴兵制も可能になる。そうした危惧はあるのではないか」と質した。

 横畠裕介内閣法制局長官は「徴兵制はわが憲法の秩序の下では、社会の構成員が社会生活を営むについて公共の福祉に照らし、当然に負担すべきものとして社会的に認められるようなものではないので、兵役といわれる役務を義務としてかされることは平時であると、有事を問わず、憲法13条、18条などの趣旨から見て許容されるものでないことは明らかであって、指摘のような解釈変更の余地はないと考えている」と答弁した。

 また横畠法制局長官は「環境の変化によって、意に反する苦役になるかどうかが変化することはあり得ない」と明言した。

 吉田党首は「集団的自衛権の解釈変更時に、法制局は従前の解釈を変更することが妥当であるとの結論が得られた場合、変更することはおよそ許されないものではないと答弁された。安倍総理はやらないといっているが、将来、時の政権が徴兵制は意に反する苦役にあたらないと解釈変更を閣議決定する意思を持てば現憲法下でも徴兵制の可能性を排除できないのではないか」と再度、可能性について質した。

 横畠法制局長官は「憲法解釈は合理的、論理的に行うべきもの。指摘の解釈が合理的、論理的に行われるとは思われず、恣意的解釈という事なら別だが、そのようなことがおこるとは考えられない」と断言した。

 吉田党首は「解釈ではありえないということを堅持して、時の政権に左右されないよう、職務を全うして頂きたい」とくぎを刺した。

 また、安倍総理は「徴兵制は憲法違反であると明確に述べている。あり得ない」と懸念払拭につとめた。(編集担当:森高龍二)