広告業界の新しい潮流にみるユーザーデータ分析の可能性

2014年07月17日 07:49

 先月、アサツー ディ・ケイ<9747>は、マーケティング・コンサルティング領域における新会社アクシバル(Axival)を設立した。同社は、購買データとメディア接触ログデータを利用し、意識・購買・メディア接触を統合した独自のデータベース、「3Dデータベース」を構築。「どのような考え方の人が」、「何を見て」、「どう思い」、「何を購入したのか」を一気通貫して分析ができると同社はしている。

 昨今、インターネットにおける広告にも変化が現れてきている。これまで、インターネット広告といえば、サーチエンジンを利用したリスティング広告や、キーワードバイイングといったものが主流であり、ポータルサイトにおいては、バナー広告、動画広告、またブログなどを利用したアフィリエイトなどの手法があげられる。一方、人々の共感を呼ぶ次世代広告として急浮上してきたのが、「ネイティブ広告(ページ内容に自然と溶け込むようなつくりになっている広告)」と「ブランデッド・コンテンツ(受け手の共感を得られるような魅力的なコンテンツ広告)」といわれるもの。携帯電話、とりわけスマートホンの普及により、ユーザーが接触する情報量が増え、その情報・コンテンツの選択がユーザーに委ねられている。広告も同様で「有益で役立つ内容」がユーザーにより選択され、これまで一方的に配信されていた広告メッセージの押し付けを回避する傾向が現れてきている。つまり、彼らの趣味趣向にあった広告を展開し、共感を持たせることが求められてきている。
 
 本来の広告の主旨に立ち返れば、その表現された内容がいかにターゲットユーザーもしくはポテンシャル・ユーザーを共感させ、それにより購買意欲に結びつけるかという原則はまったく変わっていない。技術や手法が変わってきてもそれを判断するのは、ユーザー、つまり人であり、重要なのはいかにユーザーとって共感できる有益な情報を提供できるかという基本原則をはずさないということだ。ユーザーはいつまでも素直という訳ではない。企業や広告業界に求められているのは、安易な広告出稿ではなく、ユーザー側にたった、質の高い広告なのではないだろうか?このデータベースを利用した広告の可能性に期待したい。(編集担当:久保田雄城)