オリンパス<7733>は胃や大腸のがんを切り取る2本のロボットアームを備えた内視鏡を3年後をメドに実用化すると発表し95円高。開腹手術不要で入院期間が短くなる内視鏡手術の普及にオリンパスが果たしている貢献度は高い。キヤノン<7751>はスマホにおされて不振だったデジカメにやっと春が来て、1~6月中間期の純利益が20%増の1284億円。しかしレンズ交換式カメラの販売計画を760万台から700万台に引き下げ、通期の売上高見通しを3.86兆円から3.78兆円に下方修正した。売上高も営業利益も市場予測を下回り、乱高下の末5円安だった。
小糸製作所<7276>系の信号メーカーのKIHD<6747>は一時ストップ高の41円高で年初来高値更新。中国高速鉄道の拡大で中国子会社の販売が計画を上回り、営業利益を10億円上積みし58億円とするなど9月期の通期業績見通しで2回目の上方修正を行った。IHI<7013>は民間航空機用エンジンの受注が好調で4~6月期の営業利益が80%増の140億円前後という業績観測が出て11円高。コマツ<6301>はNY市場でのキャタピラーの大幅安を受け33円安。日立建機<6305>は5円安。キャタピラーは決算発表直後の時間外取引でも下落したが、前日は中国のPMIの良さで中和されていた。
ゼネコン大手の清水建設<1803>は三菱UFJ証券が目標株価を1250円に引き上げると51円高で年初来高値を更新し値上がり率13位。東京五輪関連工事で有望という評価。大成建設<1801>、大林組<1802>、鹿島<1812>も連れ高して年初来高値を更新していた。関西の中堅橋梁・鉄骨メーカーの高田機工<5923>は復興需要、五輪需要を見込まれ3円高で年初来高値を更新した。
信越化学工業<4063>は前日に4~6月期決算を発表し、営業利益が6.8%増の486億円。シリコンウエハー事業が堅調で、原材料高による塩ビ・化成品事業の減益を補った。未定だった通期業績見通しも発表し営業利益は5.3%増の1830億円。市場予測の1916億円に届かず心配されたが、株価は159円高で年初来高値を更新して終えた。中外製薬<4519>は300円高で年初来高値を更新し値上がり率6位。1~6月期決算の営業利益13.1%増、純利益17%増、通期の営業利益見通し710億円を好感されていた。
伊藤忠商事<8001>はタイ最大級の財閥チャロン・ポカパン(CP)グループと資本業務提携契約を締結。相互出資で最大1024億円を受け入れ、食料や化学品などで協業しながらアジア市場を開拓する。上限7800万株、1100億円の自社株買いも発表して33円高だった。昭和電工<4004>グループの専門商社の昭光通商<8090>は13円高で年初来高値を更新し値上がり率9位。外食のロイヤルHD<8179>は1~6月期の経常利益を9.5億円から15.2億円に上方修正し、前年同期比12.9%増益で27円高。不動産のヒューリック<3003>は1~6月期の営業利益が34%増の185億円という業績観測が出ていたが8円高どまりだった。
ゲーム・コンテンツ関連では、スマホゲームが好調なコーエーテクモHD<3635>に4~6月期の経常利益が約20億円で過去最高という業績観測が出て37円高で年初来高値更新。タカラトミー<7867>は子会社のタカラトミーエンタメディアで不適切な会計処理が判明し、社内調査委員会が調査を開始したというバッドニュースがあり36円安で値下がり率4位。サイバーエージェント<4751>は10~6月期の経常利益が2.1倍の148億円と好調でも市場予測を下回るとカラ売り規制まで発動されて630円安だった。
新興市場は日経ジャスダック平均は0.65%上昇したものの東証マザーズ指数は1.25%下落。ロボットのサイバーダイン<7779>は630円の大幅高だったが、ミクシィ<2121>は15円安だった。
この日の主役は、ふだんは「御三家」でも地味な存在のファナック。ガラにもなく値上がり率ランキング上位にも顔を見せ終値930円高(5.33%上昇)の檜舞台。売買代金3位で値上がり率は結局23位だった。前日に4~6月期決算を発表し、営業利益は94%増とほぼ倍増し664億円で市場予測を上回った。新型iPhoneなどのスマホの金属ケースを加工するための「ロボドリル」の需要が急増し、受注高が64%増で過去最高を記録して業績に寄与。決算内容を見てSMBC日興証券がレーティングを引き上げていた。(編集担当:寺尾淳)