ワールドカップ優勝の裏にあるドイツの移民政策は?

2014年07月28日 15:08

画像・ワールドカップ優勝の裏にあるドイツの移民政策

ドイツの全人口約8200万人のうち1500万人程度が移民の背景を持つ住民と言われている。具体的には、トルコ(16.4%)、ポーランド(7.5%)、ロシア(6.7%)、イタリア(4.9%)、カザフスタン(3.5%)、ルーマニア(2.7%)といった国々である。

 ブラジルで開催されたサッカーワールドカップは、ドイツ代表が圧倒的な強さで優勝した。同代表チームの23選手の中に、親が移民であるなどルーツをドイツ国外に持つ選手が多く見られた。今回ワールドカップでの最多得点記録を更新したポーランド系のクローゼ、クリエイティブなプレーを見せたトルコ系のエジル、中盤を引き締めたチュニジア系のケディラ、鉄壁の守備の一翼を担ったガーナ系のボアテングなど。こうした選手の活躍抜きにして優勝は語れない。

 ドイツの全人口約8200万人のうち1500万人程度が移民の背景を持つ住民と言われている。具体的には、トルコ(16.4%)、ポーランド(7.5%)、ロシア(6.7%)、イタリア(4.9%)、カザフスタン(3.5%)、ルーマニア(2.7%)といった国々だ。

 もともと1950年代の工業生産の発展にともなう労働力不足から外国人労働力の募集が行われ、移民の大量の流入があった。55年にイタリアとの間に、その後トルコ、ギリシャ、スペイン、チュニジア、ポルトガル、モロッコとの間に労働者協定が結ばれた。73年に移民募集は停止されたものの、移民の家族の呼び寄せなどがありこの流れは止まらず、80年以降も冷戦終結に伴うドイツ系移民が帰国し、さらには東欧からの移民が流入した。

 実際、ドイツでは労働目的の移民の受け入れを資格や技能に基づいて実施している。しかし、移民の背景を持つ国民の中途退学率や失業率は、移民ではないドイツ人と比較して約2倍となっていて社会問題とされている。ネオナチと呼ばれるグループによる外国人襲撃事件の発生、イスラム教移民の増大による文化摩擦なども数多く発生している。メルケル首相が「多文化社会を築こう、共存共栄しようという取り組みは失敗した」と発言したように、移民が社会に溶け込めていない状況は明らかである。

 日本政府は現在、毎年20万人程度の移民受け入れを検討している。合計特殊出生率が人口を維持できる2.07程度に回復すれば、人口の大幅減を避けられると試算されているからだ。しかし、ドイツの移民政策がもたらした社会問題を深く検討し、対策を打ち出してもらいたいものだ。(編集担当:久保田雄城)